二度目のステイホームウィークが始まりました。ミモレでは2021年4月末までに公開されたインタビューのうち、最も人気があった記事5本をご紹介します。よろしければぜひお楽しみください。元記事は3月15日に公開されたもので、作品の情報等は公開当時のものです。

《私は夢のある未来が欲しいだけだ。男も女も関係なく、みんなが夢を見られる国を作りたいんだ……!》
昨年12月、そんな熱いメッセージを込めた一本の時代劇映画が公開され、現在も異例のロングランを続けています。
映画『天外者(てんがらもん)』の主人公は、激動の幕末から明治維新を駆け抜け、日本経済の礎を築いた五代友厚。
俳優・三浦春馬さんが出演を願い、実現したこの作品は、なぜ多くの観客に愛されているのか? 脚本を手がけ、このたび同作のノベライズ『天外者』を出版した脚本家・小松江里子さんに伺いました。

 

小松江里子
大阪府出身。1990年放送のテレビドラマ『卒業』(TBS系列)で脚本家デビュー。代表作に『若葉のころ』『青の時代』『Summer Snow』『元カレ』、NHK連続テレビ小説『どんど晴れ』、NHK大河ドラマ『天地人』『花燃ゆ』など。2010年に始まった『花嫁のれん』はシリーズ4作が世界約40カ国で放送中。映画脚本に『利休にたずねよ』『サクラサク』『海難1890』がある。2008年に橋田賞、2010年に『天地人』でエランドール賞、『海難1890』で日本アカデミー賞優秀脚本賞を受賞。近作に『隕石家族』『明治開花 新十郎探偵帖』、4/7よりテレビ東京系深夜枠「ドラマParavi」で『理想のオトコ』が放送開始(動画配信サービス「Paravi」で3/31より先行配信)。

 


悪役イメージの裏にある「真実」を書いてみたくて


五代友厚(ごだいともあつ)という名前を聞いて、「ああ、あの人!」とパッと思い浮かぶ人は、もしかしたら少数派かもしれません。江戸時代末期、薩摩藩(現在の鹿児島県)に生まれ、長崎に遊学して学び、国際的なセンスを磨いたひとりの侍が、明治維新を経て実業家となり、大阪を拠点に日本経済の立ち上げを行う生涯を描いた物語が映画『天外者(てんがらもん)』。天外者は「すさまじい才能の持ち主」という意味の薩摩弁です。

「幕末でも、あまり歴史の表舞台に登場しない人なんですよね。それに、いろいろな事業を立ち上げてお金をたくさん儲けた人ということで、なんとなく『金の亡者(もうじゃ)』というイメージも強くて……。でも、脚本を執筆するにあたって彼のことを調べてみたら、死後、実は手元に借金しか残されていなかったということがわかったんです。えっとその事実に驚いて。そんな、噂と真実のギャップに惹かれて興味を持ち、彼のことを書いてみたいと思いました」

 もうひとつ、小松さんにとって執筆の大きな動機になったのが、五代役で主演することが決まっていた俳優・三浦春馬さんの存在。

「子役の頃の印象が強かったのですが、素敵な大人の青年になられて、その当時は美容系のCMですごく美しい姿を見せていたり、俳優としても舞台に積極的に出演されていたり。これから、また自分の殻を破って、一段上のステージに行こうとしていらっしゃるんだなということを、見ていて感じました。そんな彼が、この作品に出演したいと言ってくださったことは、すごく大きかったです」

 
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