おはようございます。

日本はGWまっただ中ですね。

新緑が眩しい季節。コロナ以前は、外国人の友人に日本旅行のベストシーズンを聞かれたら、5月か11月と答えていました。

今年は外出はできないけれど、お休みの人もお仕事の人も、ほっと一息つく時間がありますように。

我が家のシンガポールでの隔離生活も、ようやく後半に入りました。

普段は仕事に子どもの送り迎えにとスケジュールに追われる生活。時間がたっぶりあったら、いろんなことができるかもとちょっと期待してたのですが、案外思いつくことはワンパターン。

1)1日3回お風呂に入る。

2)運動する。YouTubeでの筋トレとストレッチ、そしてヨガのオンラインレッスン。このところ気になっているモモ裏の硬さをこの2週間で少しでも改善したいです。

3)本・動画コンテンツをひたすら消費。

⋯⋯こんなところでしょうか。あとは食事をしたり、息子の相手をしたりしてると、あっという間に1日は過ぎていきます。

ここでブログを書かせてもらったり、インスタあげたりするのも、いい気分転換になっています。

ホテルのバスタブが大きくてよかった〜♪ バスソルトをバサっと入れ、半身浴しながらKindle読んだり、Netflix観たりするのが日課に。

さて、今日はNetflixザッピングしていて「これは!」と思ったドラマをご紹介します。全編フランス語にもかかわらず、英語作品に並ぶヒットを飛ばしたNetflixオリジナルシリーズ『Lupin/ルパン』。

『クイーンズ・ギャンビット』を初動再生数では超えたという、外国語作品としては初の快挙。それを成し遂げたのが仏発作品だということが、フランス映画好きとしては、まずうれしい。

変なカリカチュアなしにフランスのエッセンスを詰めこみながらも、国を超えて老若男女楽しめるエンタメに仕上がっています。

本シリーズは、モーリス・ルブランの推理小説『怪盗紳士アルセーヌ・ルパン』に着想を得た怪盗サスペンス。

貧しいセネガル移民の父子家庭で育った主人公アサン。アサンの父は、雇用主である大富豪の首飾りを盗んだ罪で投獄され、失意のうちに自殺します。父から贈られた『怪盗紳士アルセーヌ・ルパン』を愛読書として成長したアサンは、理不尽な階級社会に挑む怪盗となり、父を陥れた大富豪を追いつめようとします。

とにかく魅力的な主人公と痛快なストーリー

このドラマにはまったのは、オマール・シー演じる主人アサンがとにかく魅力的だから。オマール・シーは、人種を超えた友情を描いた『最強のふたり』で、白人の大富豪を介護する黒人青年を演じたフランス人俳優です。

元々はOmar et Fredというお笑いコンピのかたわれだったオマール。人懐こい笑顔がチャーミングで、本作でもコメディアンとしての魅力を垣間見せています。

息子の前ではお茶目な父親でもある一方、心理戦では無双の知的なカリスマ。しかし、暗い過去を胸に、父の仇を討とうとする一途さも秘めている複雑なアサン。怪盗というアンチヒーローなのに、アサンが愛されキャラになっているのは、オマール・シーが演じてこそでしょう。

あるときは裕福な紳士、あるときは、バンリュー(移民を中心とした低所得者が住む郊外)のチンピラ、といろんな人物に扮する様子を見るのも楽しい。

だらだらドラマ観てられるなんて、考えてみたら贅沢ですね。だらだら気分を盛り上げるため(?)、デリバリーで頼んだSHAKE SHACKのハラペーニョバーガー(とりわけハラペーニョそのもの)がおいしかった。

そして脚本を担当しているのは、Netflixドラマ『クリミナル』シリーズのジョージ・ケイ。『クリミナル』は、捜査官と容疑者の心理戦を描いたドラマで、最初から最後まで尋問室の中で1話完結のストーリーが展開するんですが、よく練られていて、どんでん返しに唸ることも。このシリーズも面白くて大好きなんです。

ジョーイ・ケイはイギリス出身ですが、『クリミナル』にはイギリス編、ドイツ編、フランス編、スペイン編があって、現地の文脈を犯罪スリラーのエッセンスとして使うのがお得意な様子。その手腕を発揮し、『Lupin/ルパン』を、現代フランスを舞台とした痛快なサスペンス作品に仕上げています。

コミカルとシリアスのバランスもちょうどよく、過激な暴力シーンがなく安心して楽しめるのも◎。

等身大のパリとそこに暮らすファミリーの物語

第1話の舞台はルーブル美術館。モナリザもちらっと映るなどサービス精神全開で物語が幕を開けます。

アサンが、モンマルトルのサクレ・クール寺院を背景に、アパルトマンの屋根から屋根へと駆け抜けたり、リュクサンブール公園で自転車での追走劇を繰り広げたり。他にも蚤の市やポン・デ・ザールなどパリの名所を、これみよがしでない、自然な演出の中で拝めるのがうれしい。

劇中でアサンが家族旅行をしたエトルタ。アルセーヌ・ルパンの生みの親ルブランが暮らしたこの町がルパンファンの聖地だということを、ドラマを観て初めて知りました。クロード・モネがこの写真の断崖を描いたことでも有名で、パリからちょっと足を伸ばして観光するにはおすすめの場所です。

そんな普段着のパリを舞台とした、アサン、元妻クレールと息子ラウールの家族ドラマとして楽しむのも十分あり。クレールを演じているのは、リュディヴィーヌ・サニエ。『スイミングプール』などフランソワ・オゾン監督の映画に出ていて、奔放なイメージがある女優さんですが、『Lupin/ルパン』で最初に登場するときには、地味でいたって普通。⋯⋯普通なんだけど、アサンに未練ありありだったり、それでも謎の多い彼に対する不信感を拭い切れなかったり、と揺れ動くクレールが、どんどん魅力的に見えてきます。

アサンはアサンで、はなれて暮らすティーンエイジャーの息子を溺愛しています。ルパンオタクから足を洗えない子どもっぽさを持った、ちょっとダメな父親っぷりもいい。

アサン家族の様子を見ていると、(フランス人俳優がフランス語で演じているから当たり前なんですが)「こういうフランス人いるよな〜」っていう等身大感が感じられるところが、好き。

子どもっぽさが抜けないフランス人男性が、うちにもひとり。
 

エンタメにおける、言語も含めたローカル性に惹かれるんですよね。英語圏以外で、ローカルでありつつも普遍的に楽しめる作品って貴重です。

また、フランス社会への風刺がちりばめられているのも作品の特徴。そもそも物語の主軸が父を差別した階級への復讐ですが、それ以外にも、ユーモアとアイロニーを込めながら、随所で差別が言及されます。

例えばアサンは、あるときには「盗まれるような貴重品も持っていない」と清掃員更衣室に監視カメラが設置されていないことを犯罪に利用し、またあるときは、ベルギー領時代のコンゴから夫が持ち帰った宝石を披露するブルジョアの老婦人に、「いい時代だ(au bon vieux temps)」と笑顔で応じながら、詐欺を働きます。

娯楽作品なので差別問題を深堀りしているわけではありませんが、黒人を主人公に据え、差別や格差などの社会問題に目配りしているところも、作品に説得力を出しています。

『Lupin/ルパン』はパート1(1話〜5話)まで公開中、パート2(6〜10話)は、今夏公開予定。パート1はGWに観るのにほどよい分量なので、ステイホーム中に観ておいて続きは夏まで楽しみに待つというのもおすすめですよ。

私は公開中のは全部観てしまったので、隔離生活後半、「これ観た方がいい!」っていうドラマ(ドキュメンタリーでも)があれば、ぜひ教えてくださいね。