ミモレのコミュニティ〔ミモレ編集室〕のメンバーが、“SDGsネイティブ”のZ世代(概ね1996年頃〜2015年頃生まれ)が牽引するプロジェクトを取材し、私たちが今できることについて、一人称の問題意識で考えます。

「都会の人は自然は田舎にしかないって思いがちなのですが、ちがうんです。ベランダの花にもハチはやってくるし、そこから生態系が広がっていきます」

そう語るのは武蔵野大学3年の矢田萌子さん。SDGs教育に力を入れる同大学の、2020年度Musashino SDGs Awardで最優秀賞を受賞したグループのお一人です。

受賞したプロジェクトは、東京・有明の同大学キャンパスでの養蜂活動。都会のまんなかでハチミツが採れるなんて驚きですが、それがどうしてSDGsにつながるのでしょうか?

ミツバチは人類の生命線!?ベランダから始めるSDGsを大学生に聞いてみた_img0
写真/Unsplash

「ハチミツを採ることだけが目的じゃないんです。人間が食料とする上位100種の主要作物のうち6割がミツバチの助けを借りて受粉しています(参考1)。ミツバチの代わりに全部を人工受粉でまかなうことはとても無理。ミツバチが減ると人間の食料も減ってしまいます」(同大学4年の齊藤珠希さん)

なんと! ミツバチは人類の食料の生命線だったんですね。この世からミツバチがいなくなったら人間は飢餓まっしぐら。

「こわい~」と、姿を見かけると遠ざけていたミツバチのこと、ちょっと見直しました。

 


SDGsを身近にとらえる10代、わかっちゃいるけど動けない40代


SDGsとは国連が定めた2030年までに実現すべき17の開発目標です。

もちろん耳にしたことはあるし、地球の未来を左右する重大事とはわかっているけど、たくさん目標があってなんだかむずかしそう⋯⋯。

〔ミモレ編集室〕のメンバー同士で話をしていると、「うちの子は、学校の授業でSDGsのことを習ったらしいよ」「子どもが受験なのでパンフレットを見ていると、SDGs教育を売りにしてる大学が結構あるみたい」との情報が。

⋯⋯もしかして、子どもたちより母親世代のほうがSDGsに疎い?

そんな危機感を裏づけるように、電通の調査によれば、SDGs認知度は、年代別では10代、職業別では学生が一番高いとか。そして、「SDGsについて、自分で何か行うにはハードルが高い」と回答した人は40代以降が多いという結果が。知らないわけではないけれど、行動を起こすには腰が重い、私たち自身の姿にバッチリ重なります。

「このままじゃまずい!」と〔ミモレ編集室〕の有志メンバーが、SDGs達成のために活躍するZ世代(1990年代中盤以降に生まれた10〜20代の世代)に取材を決行。ハードルをひらりと乗り越えて行動を起こす彼らの秘密を特集します。
 

ミツバチを育てれば、都会の自然がゆたかになる


今回取材に応じてくれたのは、武蔵野大学の養蜂チームRooftop Beeの皆さん(工学部環境システム学科4年生の齊藤珠希さん、多田健一さん、中居奈々香さん、同3年生の小笠原七海さん、仁科初音さん、矢田萌子さん)。養蜂のポテンシャルについて、〔ミモレ編集室〕の“じゅて”がお話を伺いました。


彼らの養蜂活動は、SDGsの17の目標のうち、なんと5つもの目標に貢献する可能性を秘めているんです!

“目標2:飢餓をなくそう”にミツバチが貢献するのはわかったけれど、それだけじゃないんですね。

「花粉を媒介するミツバチは、人間の食料に限らず、周りの植物を受粉させて植生をゆたかにします。ミツバチを育てれば、都会にも自然が広がっていくんです。都市の生態系をゆたかにすることは、“目標13:気候変動に具体的な対策を”、“目標15:陸の豊かさも守ろう”にもつながります」(多田さん)

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写真/Rooftop Bee

「日本でも、都市は食料生産を地方に依存しています。“目標11:住み続けられるまちづくりを”実現するには、都市にも自然環境を作り出して食料の自給を目指した方がいい」(中居さん)

「キャンパス屋上の農園では、養蜂だけでなく野菜も育てていて、収穫した野菜はキャンパス内の食堂で使われることもあります。調理で出た野菜くずなどは、肥料として屋上農園で使うサイクルを通じて、食品ロスの削減に取り組んでいます」(仁科さん)

「その様子を情報として発信し人々のライフスタイルを自然と調和したものに変えていくことで、“目標12:つくる責任 つかう責任”にも貢献します」(齊藤さん)

 
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