コロナ禍で価値観が大きく変わり、生活環境などを変えようと検討中の方もいるのではないでしょうか? 「ひふみ」シリーズを運用している資産運用会社の代表取締役会長兼社長である藤野英人さんは、昨年、東京の都心から、逗子市に引っ越しをしたそう。
心境の変化や、コロナ禍でこそ大切にしている価値観について、マネーコラムニストの西山美紀と編集部員の片岡が話を伺いました。
 

<今回お話を伺ったのは……>

「仕事よりも、人命を大切にする人を社員に」資産運用会社 社長のコロナ禍で変わった価値観_img0
 

藤野英人さん
レオス・キャピタルワークス株式会社 代表取締役会長兼社長
国内・外資大手資産運用会社でファンドマネージャーを歴任後、2003年レオス・キャピタルワークス創業。「ひふみ」シリーズ最高投資責任者(CIO)。投資啓発活動にも注力し、JPXアカデミーフェロー、東京理科大学上席特任教授、早稲田大学政治経済学部非常勤講師、叡啓大学客員教授を務める。一般社団法人投資信託協会理事。

 


――藤野さんは昨年、都心から、逗子市にお引っ越しをされたと伺いました。

藤野英人さん(以下敬称略):はい、以前は東京の高層マンションに住んでいましたが、今は、逗子市に住んでいます。
以前も、マンションにピアノを置き、景色を楽しんだりとそれなりに満足した生活ですが、現在の海と山に囲まれて、陽光と穏やかな風に恵まれた、空気もきれいな地域での生活も、大変満足しています。

2020年春を境に、私の人生のデザインが根本から変わりました。レオス・キャピタルワークスは、原則的に在宅勤務に変えまして、私自身もオフィスに行かずに自宅で仕事をする日々になりました。
これまでの生活は「東京のオフィスで毎日働き、東京に暮らす」という一つの“型”を前提にしていたと気づいたんです。

いろいろな選択肢がある今、暮らしの拠点を自然豊かで明るいエネルギーがあふれる場所へ移してみようというアイデアが浮かびました。

新たな家族として犬も2匹、迎えました。家にいる時間が増えたので、日常の楽しみとして「食」にもお金をかけるようになりました。
といっても、家庭菜園で野菜を育て、ホームベーカリーマシンでパンを焼く、といったことで、以前は年何百回も会食をしていたことを思うと、お金は全然かかっていないですね。

――生活が大きく変わって、心境の変化もありましたか?

藤野:大きく変わったなと感じることは、「身近なものを大切にしよう」という思いですね。
私の場合は、家族や社員。
この1年半くらい、コミュニケーションをしているもの、家族か社員です。今あるものにどれだけ感謝できるかが、大事なことだと思うようになりました。

それは、家族や社員もそうですし、お金も体力もそうです。

どこの社長もそう思っていると思いますが、自分たちの会社の社員のレベルが非常に高いということを日々、感じています。コロナ禍を経て、それぞれの社員が成長して、良い人も採用できて、よりひと皮、ふた皮むけたと感じています。

家族と話していても楽しいですが、社員として話していても、すごく楽しいんです。

 
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