背水の陣を敷いたものの……予想外のトラブル


既製品ではなく、こだわりの詰まったオリジナルな酵素ドリンクをお客様に届けたい。そう決意し、自分の責任で好きなだけこだわるため、背水の陣を敷いて独立、起業をします。

10年前、当時は酵素ドリンクといえば数万円のものや、安価だけど成分もいまひとつのもの、パッケージで損をしているものなどが大多数。そこで中間くらいの価格ながらに成分に妥協ナシ、そしてお部屋にボトルを置いても素敵な商品を目指し、オリジナル酵素ドリンクの開発をスタート。

全国の酵素ドリンクメーカーを電話帳で調べ、かたっぱしから電話。ほとんど相手にしてもらえませんでしたが、1件だけ、新潟のメーカーさんが話をきいてくださったのです。これが転機でした。ついにオリジナル商品が形になります。

初期費用として貯金をすべて投じました。自信作とはいえ、在庫分を売ることができなければ全額自分の損失になります。

それまで営業もマーケティングも、ひたすら見様見真似、現場で身につけたスキルでしたので、ずいぶん遠回りも失敗もしました。若く、世間知らずで、きっと失礼もあったと思いますし、無駄も多かった。それでも、ガッツとパワーだけは充分、労力を惜しむということは一切しませんでした。

当時はFacebookの黎明期でもあり、珍しかったセルフィーをあげることでユーザーさんとのつながりを強くしていきました。そう言うとカッコいいですけれど、当時はもう無我夢中(笑)。

商品の定期購買をしてくださる方々のお名前はすべて記憶しているくらいに、一所懸命でした。ウェブサイトを作るにしても、何の知識もありませんからまず本を読む。アフィリエイターさん、ブロガーさんにお願いし、コツコツと営業を展開します。

「貯金をすべて投じて起業したのに...」事業成功後に起きた体調トラブル。その学びとは_img1
写真:Shutterstock

結果的に、ブームの追い風という幸運もあり、事業は成功。ところが一気に駆け抜けた無理がたたったのか、私自身に変調が訪れます。小麦アレルギーを発症し、29歳のある日、表参道で突然に倒れ、救急搬送されてしまったのです。

 


事業は順調。でも、私はいつ倒れるかわからないと言われ、この先事業をどんなふうに大きくしていくべきなのか、わからなくなってしまいます。ガムシャラに走るという以外に術を持たなかった私にとって、初めての赤信号でした。