48時間以上続くしゃっくりにはご用心


山田 しゃっくりは48時間未満であれば病的な問題はないと言われています。けれど、48時間を超えてしゃっくりが出続けている場合は背景に病気が隠れている可能性を考えなくてはいけないのです。
というのも先ほど「横隔膜が勝手に収縮するのを繰り返すのがしゃっくり」とお話しましたが、この横隔膜の上と下の臓器がポイントになってきます。

横隔膜のすぐ下には胃があるのですが、例えば胃にがんができていて、そのがんが横隔膜を刺激していることが原因でしゃっくりが続いている、という可能性が考えられたりします。
あるいは、横隔膜のすぐ上には肺がありますが、横隔膜の近くにがんや炎症が起きている場合にも上側から横隔膜が刺激されますので、その場合にもしゃっくりが止まらなくなる、ということが起こりえるのです。

碓氷 なるほど。

山田 最近の身近な話題ですと、新型コロナウイルスも肺炎を起こす原因として有名ですよね。この肺炎の起きる場所が横隔膜の近くだとしゃっくりが止まらないという症状が出ます。しゃっくりが止まらないから受診してみたら、診断は新型コロナウイルスの肺炎でしたというケースが実際に報告されているんですよ。

また、薬が原因でしゃっくりが起こることもあります。最もよく報告されているのが新型コロナウイルスの治療薬としても使われているデキサメタゾンと呼ばれるステロイド薬です。ですので、新型コロナウイルスの治療中に、治療薬が原因でしゃっくりが出る、ということも起こりうるのです。

 

碓氷 原因が新型コロナのケースもあり、新型コロナの治療薬のケースもあるとは、ややこしいですね。しゃっくりが出ている、出ていないだけでは、その原因はわからないということですね。

山田 はい。たかがしゃっくり、されどしゃっくりということで、少しだけ気に留めておいて頂ければと思います。

碓氷 病気の対応策は「原因による」と先生がよくおっしゃいますが、まさに今の話はそういうことですね。

山田 その通りです。冷たい水を飲む、舌を引っ張る、10秒程度息を止める……。しゃっくりを止めるためにはこんなものが有効だと報告されていますが、それでも2日も3日も止まらない場合には注意が必要ですね。

碓氷 舌を引っ張るという方法もあるんですか。

山田 はい。基本的には横隔膜の動きを止める行動、横隔膜に繋がる神経の働きを高める行動が有効だとわかっているのですが、「舌を引っ張る」というのはその神経の働きを高める行動なんです。

碓氷 「100回しゃっくりが出続けると死んでしまう」という都市伝説はそのままではありえないことだとわかりましたが、出続けるしゃっくりには要注意、という意味では、理解できる部分がありますね。

山田 そうですね。それがオーバーに伝わってしまった結果、都市伝説になったのかなという印象を受けました。

碓氷 しゃっくりだからと油断せず、「48時間以上出続けていたら要注意」ということを意識したいと思います。本日もありがとうございました!

構成/新里百合子

 


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