サル痘とは? どんな症状が出る? 感染力は?

 

サル痘とは、サル痘ウイルスによるウイルス感染症です。過去に致死率が30%にも及ぶ天然痘と呼ばれるウイルス感染症の流行がありましたが、予防接種によって根絶されたという歴史があります(参考文献1)。ヒトに感染を起こす天然痘のウイルスと、サルなどの動物に感染を起こすサル痘ウイルスは兄弟のような関係で、天然痘に対する予防接種がサル痘にも有効であることが知られています。しかし、天然痘が根絶した後、現在では予防接種は行われていないため、サル痘に対する獲得免疫のある人は減少の一途を辿っています(参考文献1)

 

ヒトのサル痘感染には、実はもう何百年という歴史があると言われています(参考文献1)。ただし、しっかりとヒトに感染しうる病原体と認識されたのは、1970年代に入ってからのことでした(参考文献2)。その後、1970年から1980年にかけて、いずれもアフリカで計約60人の感染者が報告されていますが、齧歯類(げっしるい)などからの感染が主体であったようです。その後、2005年から2007年には760名が診断されて増加傾向にあることが指摘されていました(参考文献3)

2003年には初めてアフリカ外で、アメリカでのアウトブレイクが報告されましたが、これは感染した齧歯類の動物(主にプレーリードッグ)が輸入されてしまい、これをペットとして飼育した人たちの間で広がったものでした(参考文献4)。その中でも、「触れただけ」という人では感染や重い症状を出す確率は低く、噛まれたり引っ掻かれたりした人で重い症状が出たことが報告されています(参考文献5)

このサル痘ウイルスは、ヒトからヒトへの感染は比較的起こりにくいとされていますが、大きな飛沫を介した飛沫感染や、感染者の体液への暴露などによって感染は広がりうるとされています(参考文献6)。例えば、個人防護具のない状態で3時間以上感染者と接触があるなどの状況では感染が成立しうるようです。