「みんなちがって、みんないい」と、聞き飽きるくらい多様性が叫ばれていても、まだまだ社会は少なからず閉塞的。常識からはみ出た言動が見つかるとコミュニティで村八分に遭い、ネットでも叩かれてしまいそうな時代に、心の底から自分らしいと思える生き方を貫くのは簡単ではありません。

でも、たとえ世間から許されない道でも、覚悟を持って突き進めば自分だけの幸せが見つかるかもしれない。それを繊細な小説で描き続けているのが作家の凪良ゆうさんです。2年ぶりとなる新作『汝、星のごとく』には、多数派の“普通”とは違うカタチの愛を選んだ人たちの生きざまが綴られています。

2020年に『流浪の月』で本屋大賞を受賞。『滅びの前のシャングリラ』で2年連続同賞にノミネートして、今年でデビュー15周年。押しも押されぬ人気作家である凪良さんも、実は数々の紆余曲折を経て自立した強さを身につけてきた女性です。今回のインタビューでは、自身の人生観を左右するターニングポイントとなった経験を織り交ぜながら、新刊に込めた想いを語ってもらいました。 

 

凪良ゆう(なぎら ゆう):作家。京都市在住。2006年にBL作品にてデビューし、代表作に21年にTVドラマ化され国内外で称賛された「美しい彼」シリーズなど多数。17年には非BL作品である『神さまのビオトープ』を刊行し高い支持を得る。19年、『流浪の月』と『わたしの美しい庭』を刊行。20年『流浪の月』で本屋大賞を受賞。同作は22年5月に実写映画が公開。20年刊行の『滅びの前のシャングリラ』で2年連続本屋大賞ノミネート。