「大人の新生活は、何度でも始められる」……いつもの日常の風景を少しだけ新鮮にする、というコンセプトのもと、ミモレストアでは初めてとなるアート作品を販売します。ミモレストアのバイイングディレクターでもあるスタイリスト福田麻琴さんがセレクトしたのは、雑誌や広告で活躍するフォトグラファー酒井貴生さんが撮影した風景写真。「日常の慌ただしい瞬間に静けさをもたらしてくれる1枚」と福田さんが語る酒井さんの風景写真の背景について、お二人が対談した様子をお届けします。

酒井貴生さんと福田さん、今回販売する作品を挟んでの2ショット。終始和やかな対談となりました。
●酒井貴生:京都出身。2012年に独立以降、ファッションフォトグラファーとして、雑誌・広告の撮影、セレブリティのポートレートを数多く手がける。近年は大自然を切り取った風景写真の個展も開催するなど、その活躍の場を広げている。aosora所属。

ファッション誌の撮影などで、以前から一緒に仕事をする機会が多かったというお二人ですが、福田さんが酒井さんの風景写真を初めて見て衝撃を受けたのは昨年の春だったそう。数ある作品の中で、福田さんがこの写真を選んだ理由とは?

心地よい“静けさ”を、住居空間に

酒井貴生さん額装写真¥88000/mi-mollet STORE

福田さん「これまでも酒井さんとお仕事はご一緒していたけれど、風景写真もとっても素敵で! 去年の春かな、初めて個展に伺ったときに衝撃的だったんです。華やかなファッションの写真とはまた世界観の異なる、すっとした静寂を感じる美しい写真に惹き込まれて……。特に、仕事に家事にとすごくバタバタと忙しくしているタイミングだったので、写真と向き合った時、『今の私に必要なものは“静けさ”だったんだ……!』って気づいたの。それくらい、壁にかかっていたこの作品を見た時、瞬間的にすっと気持ちが落ち着いたんです」

酒井さん「ありがとうございます。僕自身も、普段は仕事で忙しくしていて、色々と煮詰まってきたときに、風景写真を撮りに行くことで自分を取り戻すというか、リセットされるような感覚があります。月に1、2回は風景を撮りに、自然の中に出かけています」

福田さん「自然の景色を見るだけでも色んなものをチャージできそう。風景を撮ってるときは人が変わりそうだね……(笑)」

酒井さん「はい(笑)。もう1人で夢中で撮っています。行けるならずっといたいくらい、楽しいですね」

朝7時。長野県・聖高原のカラマツ林の雪景色

まず福田さんが惹かれたのが一面真っ白な雪景色の写真。

――今回の写真はどちらで撮られたのですか?

酒井さん「これは長野県の聖高原にあるカラマツ林です。標高は1000メートルくらい、車で雪道を上っていったところにあります。撮影したのは真冬の2月。この雪景色が撮りたくて。朝の6時くらいに着いて準備して、中牧湖という湖のまわりを歩きながら、朝7時くらいに撮った写真です。ちょうど雪も降っていて、ダイヤモンドダストも撮れた日でした。カラマツの林に深々と降り積もる雪だけが動いているような、静寂な空間でした」

京都・亀岡市出身の酒井さん。霧が有名な亀岡市で見た風景が原体験にあるそう。「亀岡は霧が有名な所で、晴れていてもお昼過ぎまで霧がかっていて幻想的でした。そういう自然に囲まれて育ったので、今でも日本の情緒的な自然の風景に惹かれます」

福田さん「朝に撮影した写真なのね。それも、見ているだけで気持ちを浄化してくれるような理由なのかも。風景写真はいつから撮るように?」

酒井さん「キャンプや山登りも好きで10年くらいやっているんですが、元々風景写真を見るのが好きだったから、自分がやるものではないのかなと思っていて……。そんなときにコロナがあり、時間に余裕ができたことが1番のきっかけです。それまでは寝る時間もないくらい仕事が忙しかったんですが、コロナで平日に時間ができたことも大きくて。ハイキングにも大きいカメラを持って行くようになったりして、改めてやりたかったことがふっと湧いてきたというか……気づいたら自然を撮りたいな、という気持ちになっていました」

「窓」の役割としてアートを飾る

「見ているだけで、雪や水の質感とか、森のにおいがしてきそう……気持ちがすーっとして、深呼吸したくなります。まさに目で見る森林浴! 」(福田さん)

福田さん「私は酒井さんのこの写真を見た時に『ベッドルームに飾りたい!』って思ったの。毎日バタバタと忙しくしているなかで、1日の終わりにこの写真を見たら、フッと心が整ってよく眠れそうだな、って(笑)。森の香りのルームフレグランスとも相性が良さそうよね。もちろん、朝目覚めた時にこの写真を見たら、1日を気持ち良くスタートできそう。だから、フレームは写真の美しい静寂を活かせる白にこだわりました。
日常のなかで、深呼吸できる場所があるって大事。部屋の窓を開ければ自然が広がっているのが理想的だけれど、都会のマンション暮らしだとそういう景色は手に入らないし。そんなときに、部屋の壁に風景の写真を飾ってみることでリラックスできる空間ができる。自分をリセットしたり、気持ちを整えてくれる“窓”の役割になってくれるのかな、と思います」

酒井さん「ありがとうございます。僕自身も風景写真を撮る時間がリセットの瞬間になっていると思います。育った街の景色とも繋がるのか、以前から情緒的な日本の風景が好きで。どこか“懐かしい”と感じる瞬間を撮ることが多いです。見る方にも、なんだか懐かしいなと思ってもらえたらうれしいです」

購入頂いた作品には、1点ずつ酒井さん直筆のサインが入ります。(写真はイメージです)

忙しい日常で、瞬間的に“気持ちをどこか違うところに連れていってくれる”酒井さんの風景写真。ベッドルーム、リビング、書斎、そして玄関など、壁を飾る「窓」の役割を果たしてくれる作品です。どこか懐かしさも感じられる風景写真で、リラックスしたり、気持ちを整えたり、新しい自分時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。

撮影/酒井貴生
取材・文/出原杏子
構成/朏亜希子(編集部)