今回からスタートする新シリーズ「経験とスキルのかけ算ドリル」。「この先どう生きていく?」「このままの私でいいの?」とモヤモヤしている皆さんに、ぜひ読んでいただきたいと企画しました。

人生100年時代とも言われる現在。過去に培ってきた知識や経験に、新しいスキルをかけ合わせることで、自分らしい「生業」や「生きがい」をつくり出す力が必要になると考えられます。

この連載では、300種類以上の資格を持ち、「IT×社労士×僧侶」とユニークなスキルのかけ算で活躍されている資格ソムリエ®の林雄次さんに、現在持っている経験知識と新しいスキルの「かけ算」を考えてもらいます。記事ごとに1つの資格や職業に焦点を当て、「かけ算」の具体例をドリルのように、たくさん解いていきます。この記事を通じて、読者の皆さんがご自身の未来を考える練習になったら嬉しいです。

「保育士」には、 保育スキルだけではない多彩な力がある

写真:Shutterstock

記念すべき第一回は「保育士」を取り上げ、まずは保育士の仕事や得られるスキルについて掘り下げます。なお、各職業で経験するであろうタスクや培えるスキルについては、厚生労働省が手がける職業情報提供サイト『job tag(日本版O-net、よみ:じょぶたぐ)』を参考にまとめています。

では、保育士の仕事には、具体的にどのようなタスクがあるのでしょうか?『job tag』によると主に下記のようなタスクがあるようです。

保育士の仕事内容● 子どもたちに、基本的な日常生活を教える。
● 遊びを通して、子どもたちのコミュニケーション力や言語・運動・知的能力を育てる。
● 一人ひとりの発達状況を把握し、子どもの成長のために適切なお世話や指導をする。
● 着替えやお片付けなど、自分の身の回りのことができるように指導する。
● 食事のお世話やマナーを教える。
● 子どもの様子を観察し、日誌や連絡帳で保護者とコミュニケーションを取る。

これらのタスクを「普遍的なスキル」に置き換えてみると、保育士としてのスキル上位3位は下記のようになります。

 


保育士の仕事で得られる「普遍的なスキル」上位3位


1位:上司や同僚、部下とのコミュニケーション力
   人間関係構築力
   他者への支援やケアを行う力

2位:全身を使って身体的な活動を行う力

3位:仕事に関する知識を更新し、活用していく力

少し細かく分析してみると、保育士の仕事を通じて得られるのは、

・傾聴力
・他者の反応理解
・指導力
・説明力
・文章力
・読解力
・他者との調整力
・対人支援力

このようなスキルだと言えそうです。

また、保育や発達に関する研究が進めば、保育士に必要な知識は年々変化します。保育士はその時々で必要な情報を集め、自分自身で学びながら、知識をアップデートして現場で応用していく力も求められると言えそうです。

このような多岐にわたるスキルと経験を持つと考えられる保育士。どのような資格やスキルと組み合わせると、これからの可能性が広がるのでしょうか?

次のページから、詳しく見ていきましょう。