3月からスタートした新シリーズ「経験とスキルのかけ算ドリル」。この連載では、記事ごとに1つの資格や職業に焦点を当て、その仕事から得られた経験と新しいスキルの「かけ算」を、まるでドリルを解いていくかのように具体的に考えていきます。「かけ算」の具体例を考えるのは、300種類以上の資格を持ち、「IT×社労士×僧侶」と自身もユニークなスキルのかけ算で活躍されている資格ソムリエ®の林雄次さんです。昔ながらの職業もITの現場も知っている林さん。今回は、どのようなドリルを考えてくれるのでしょうか。

この記事を通じて、「この先どう生きていく?」「このままの私でいいの?」とモヤモヤしている皆さんが、ご自身の未来を考えるきっかけになったら嬉しいです。
 

提案力やヒアリング力、多岐にわたるスキルが必要なアパレル販売員

 

第二回は「アパレル販売員」を取り上げます。まずはアパレル販売員の仕事内容や得られるスキルについて、詳しく見ていきましょう。なお、各職業で経験するであろうタスクや培えるスキルについて、厚生労働省が手がける職業情報提供サイト『job tag(日本版O-net、よみ:じょぶたぐ)』を参考にまとめています。

アパレル販売員の仕事には、主に下記のようなタスクがあるようです。
 


アパレル販売員の仕事内容● お客様の相談に乗り、商品説明やアドバイス、おすすめ商品の提案を行う。
● 在庫を確認しながら棚の商品を適宜補充し、並んでいる洋服を整える。
● 販売促進を意識しながら、マネキンに着せる洋服を考えたり、ディスプレイをする。
● レジで会計を行い、商品を包装する。
● 店内の清掃を行う。
● 販売記録や顧客名簿の作成。
● お客様へのダイレクトメールの発送。
● 寸法直しなどのオーダーに細やかに対応し、専門業者へ依頼する。
 


これらのタスクをjob tagに基づいて「普遍的なスキル」に置き換えると、アパレル販売員のスキル上位3位は下記のようなものになります。
 

 

アパレル販売員の仕事で得られる「普遍的なスキル」上位3位
 

1位:仕事に関連する知識を更新し、活用する力
    目標と戦略を策定する力
2位:クオリティを判断する力
3位:情報収集力、情報整理力
    仕事の整理、計画、優先順位を決める力


仕事内容をもう少し細かく分析してみると、アパレル販売員の仕事では、

● お客様からニーズや課題を引き出す傾聴力
● お客様の反応から状況を読み取る力
● 説明力
● 文章力
● 顧客・対人サービスの知識
● 販売・マーケティングの知識

このようなスキルや知識を得ることができそうです。

 

まとめると、アパレルの販売は、多岐にわたるスキルや知識を総動員する必要のある仕事だと言えます。

例えば、接客ではお客様から悩みやニーズを引き出し、最適な洋服を提案する力が必要です。また、日々接客の中で把握したお客様のニーズをもとに、商品陳列なども工夫を凝らし、お客様に洋服を買っていただけるような店舗づくりが求められます。

さらに、販売の目標数字が設定されることも多く、目標に対して今月はどのような行動をするべきか計画を立てる力や戦略を決める力も必要となるでしょう。そして何より、アパレルは最新トレンドを押さえることが命。今は何が流行っていて、次にどのようなトレンドが来るのか。情報を集め、整理する力も鍵となります。

最近では、ライブコマースなどのオンラインツールを駆使した情報発信やSNSでの発信も活発に行われています。IT領域を中心に、知識をアップデートする力も必須です。

このような幅広い知識やスキル、経験を持つと考えられるアパレル販売員。どのような資格やスキルと組み合わせると、これからの生き方の可能性が広がるのでしょうか。

次のページから、具体例を詳しく考えていきましょう。