着物は「桐箪笥」がないと保管できない?

「お着物を置物」にしないためのお手入れ術。着物は洗える、桐箪笥がなくても収納できる!_img0
 

嫁入り道具に着物をもたせるのが当たり前だった頃は着物を収納する桐箪笥も一緒にもたせることが多かったので、現在50代、60代の人の母親世代の多くは、桐箪笥をもっています。そのため桐箪笥ごと母親の着物を引き継いだ、という人も少なくないと思います。

 

「着物は桐箪笥に収納するもの」というのは日本人なら着物を着る習慣がない人でも知っているかと思いますが、なぜ桐箪笥が着物の保存に適しているのかについて考えてみます。

絹の天敵は湿気とカビです。絹の着物の保管には湿度40~50%、室温20度~22度の環境が最も適しているといわれます。それより高くなるとカビが発生しやすくなり、低くなると乾燥で絹の艶がなくなり、風合いが変わってしまうことがあります。

環境破壊による温暖化で気温が上昇している今ほどではないにしろ、梅雨時期に多湿になるのは昔も今も変わりません。日本では昔から湿気をどう防ぐかが着物を保管するうえでの大問題なのです。

そこで大きな力を発揮したのが桐箪笥でした。桐箪笥は箪笥内を一定の湿度に保つことができるのです。梅雨時など湿度が高くなる時期は桐箪笥が膨張して湿気の浸入を防ぎ、冬など乾燥する時期は収縮して湿気を取り込みます。このように一年中着物に快適な環境を保つことで、着物が劣化するのを防いでくれます。

また長期間保管すると着物が虫に食われるのも心配ですが、桐は虫が嫌がる成分を含んでいるので防虫効果があるとされています。気密性がとても高く虫すら入り込めないという話もあります。水害で流された桐箪笥を開けてみたら、着物はまったく濡れていなかったという逸話もあるほどです。難燃性も高く、箪笥の外側が焼けても中の着物に被害はなかったともいわれます。

また桐箪笥は修理を繰り返して長く使えるのも大きな特徴で、着物とともに親から子、子から孫へと受け継いでいけるものです。しかし日本人の着物離れが進んでいることで、桐箪笥職人も存亡の危機に立たされています。