なんだかいつも時間に追われている気がする。忙しいはずなのにスマホをだらだら見てしまう。仕事がなかなか終わらない⋯⋯「時間の神」からすると、現代人は「時間の使い方が下手」なのだそうです。
大学教授に扮した時間の神・黒野と会社員・春香の会話形式で、本質的な時間の使い方がわかる『神時間力』より、プロローグの『誰も知らない「本当の時間の使い方」』と、3章の『「忙しくて、できない」という幻想』を抜粋してお届けします。あなたが「忙しくて時間がない」理由がわかるかもしれませんよ。
プロローグ:誰も知らない「本当の時間の使い方」
黒野 「なぜ、人間はいつまで経っても、時間の使い方がうまくならないのでしょうかねぇ」
謎の影 「お前が『人間の時間の使い方が下手すぎるから、わたしが教えてあげましょう!』と言って、もう1万年経つだろ。どれだけ人間に時間の使い方を教えてるんだよ。ちゃんと、お前は教えてるのか? お前は時間の神だろう?」
黒野 「心外ですねえ。わたしはちゃんと教えてますよ。だから、これだけ人間たちが発展したんじゃないですか」
謎の影 「だったらなんで、そんなに嘆いているんだ?」
黒野 「現代人ですよ」
謎の影 「現代人?」
黒野 「そうです。この方たちは歴史的に見ても、時間の使い方が下手なんです。そして本当の時間の使い方を学んでいない。
自分たちの生活を便利にしすぎて、逆に時間に追われてますからね。ほら、見てください。時間がないと言いつつ、スマホを見る時間はあるようで、本当に本末転倒ですよ。気の毒ですね」
謎の影「それは笑えるな。
俺たちはずっと人間界を見ているが、たしかに5000年ほど前の人間のほうが、時間に苦しまずに生きていたかもしれないな」
黒野 「ほんとですね。だから、現代人に時間の使い方を教えるために、今回はこのわたしが人間界の大学教授になってみたんですけど、これまた絶望的でしてね」
時間の神・黒野は1冊の黒いノートを出して、ページをめくりはじめた。
そして、あるページでめくるのを止めた。何かが目にとまったようだ。
黒野 「困りましたねぇ。
現代人のみなさんは、『人生の時間とは自分の命の残り時間』だという、そもそもの本質がわかっていないようです。タイムマネジメントだ、時間術だ、タスク管理だ、効率化だと言ってますが、見当違いもいいところです。本当の時間の使い方がなんたるかを勘違いしていますね」
黒野は、手元にあった人間界のタイムマネジメントや時間術に関する本を、すべて目の前で燃やして消した。
黒野 「時間効率を追求するのがうまい時間の使い方だと思ってるんですよね。そんなことがうまい時間の使い方なら、現代人は命の時間をただ大量のタスクをこなすために使っていることになってしまいますよ⋯⋯。それでいいんですかねぇ」
謎の影「現代人に嘆いているように見えるが、お前の本心はそうではないように俺には見えるけどな」
黒野 「まぁ、そうですね。現代人のみなさんが持っている可能性は、この程度じゃないんですよ。本当の時間の使い方を知らないだけなんです。時間の神であるわたしが教える『本当の時間の使い方』を知ってしまえば、人生が劇的に変わるのですが」
謎の影 「やっぱり嘆きながらも楽しんでいるようだな。
まぁ、せいぜい気が済むまでやるんだな。ほら、また誰か現代人が泣きつきに来たんじゃないのか?」
そう言って、謎の影は、ふと消えた。
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