食事は楽しみではなく「義務」。感覚鈍麻が感じている世界とは?
「私にとって食事は、楽しみではなく、『義務』だ。その義務が1日に3回もあるから、正直、すごく面倒だし、食事の時間はほかのことをするわけにもいかないから、ひたすら忍耐の時間になってしまう」
多くの人にとって食事は大きな楽しみのはず。それを「面倒」「忍耐」と感じてしまうのは、摂食障害か何かを患っているのでは? と思わず勘ぐってしまいますが、この一節は「感覚鈍麻(どんま)」を持つ人の実態を、小説仕立てで紹介する『カビンくんとドンマちゃん』という本から抜粋したもの。感覚鈍麻の中学生・ドンマちゃんには「空腹」という感覚があまりないため、このような考え方をしてしまうのだとか。
このように感覚鈍麻とは、感覚が極端に鈍い特性のこと。かつてベストセラーとなった『鈍感力』という本では、鈍感さをポジティブに捉えていましたが、感覚鈍麻ともなるとそうも言っていられないようです。
「もし食べなくていいなら、できるだけ食べずに過ごしたい。誰かに『ごはんだよ』って言われなければ自分から食べることはないから、いつだったか、知らないうちに低血糖になって倒れたこともあった」
「さらにやっかいなのは、空腹感だけでなく満腹感もないから、『やめどき』もわからないこと。いったん食べ始めると延々と食べ続けてしまうことがある。前に、ぼーっとテレビを見ながらケーキを食べていたら、気づいたらホール丸ごと食べてしまっていて、あとから帰ってきた妹に『私の分は?(泣)』って泣かれたこともある」
ちなみに、『カビンくんとドンマちゃん』では「感覚過敏」にも言及していますが、今回は「感覚鈍麻」に焦点を絞ってその一部を抜粋。なかなか耳にすることがないこの感覚特性への理解を深めたいと思います!
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