「君は、ほんとうは、いい子なんだよ。」
このワンフレーズだけで、あ、あの本だ! と思い浮かべる方、ミモレ世代には多いのではないでしょうか?
そう、『窓ぎわのトットちゃん』で小林校長先生が、トットちゃんに繰り返し繰り返し伝えていたという言葉です。
読んだことがある、というのはもちろんのこと、お子さんがいらっしゃる方の中には、この本を子どもに読ませた、子どもに読み聞かせをした、という方も少なくないのではないでしょうか?
黒柳徹子さんが子ども時代に通ったトモエ学園や、校長先生であった小林宗作先生の思い出を綴った『窓ぎわのトットちゃん』は、これまでの累計発行部数は日本国内で800万部、全世界で2500万部を突破。20以上の言語で翻訳され、時代も国境も超えたロングセラーとして、今もなお世代を超えて愛され続けています。
その大ベストセラーの続編が、なんと42年ぶりに刊行されるというニュースが飛び込んできました! タイトルは『続 窓ぎわのトットちゃん』発売日は10月3日(火)。
続編では、トットちゃんが青森に疎開してから、音楽学校を卒業してNHKの専属女優になり、ニューヨークに留学するまでの日々が綴られているそうです。
ー東京大空襲の数日後、青森を目指して、ひとり夜行列車に乗ったトットを待ち受けていた試練とは?
ー「おめえのジンジョッコ、描いてみろ」。疎開先の学校で、みんなとなかよくなりたいトットが、考えついた方法とは?
ー「咲くはわが身のつとめなり」の言葉を胸に、トットが通った女学校や音楽学校の思い出は、映画、オペラ、ラーメン、それから?
ー「そのままでいいんです」。NHKの専属女優になりたての、トットが救われた一言とは?
『窓ぎわのトットちゃん』では、トモエ学園の明るく楽しい日々が綴られていますが、後半になるにつれ、徐々に戦争の色が濃くなっていきます。
そして、いちばん最後の章「さよなら、さよなら」は
トモエがやけた
その一言で始まり、疎開先の東北に向かう電車の中でトットちゃんが、
(いつか、また、すぐ小林先生に逢えるんだから)
と安心して眠りにつくところで、終わっています。
始めて読んだときに小学生だった私は、それまでの明るく楽しい世界が、唐突に断ち切られ、いきなり終わってしまったことに驚き、戸惑い、この最後の章がよく理解できませんでした。
でも、今ならわかります。平穏で平和な日々が続いているというのは、まさに“奇跡”のようなもので、ある日突然それが終わりを迎えることがあるかもしれない、ということを。
今回も表紙や挿絵として、いわさきちひろさんの絵が使われています。さらに、黒柳さんのアルバムからお借りした写真などもたっぷりと掲載されているとのこと、ますます楽しみですね。
著者である黒柳徹子さんは、以下のようにメッセージを寄せていらっしゃいます。
私は、どう考えても『窓ぎわのトットちゃん』よりおもしろいことは書けない、と思っていました。私の人生でトモエ学園時代ほど、毎日が楽しいことはなかったから。だけど、私のようなものの「それから」を知りたいと思ってくださる方が多いのなら、書いてみようかなと、だんだん思うようになったのです。よし!と思うまで、なんと42年もかかってしまったけど、書きはじめると、笑っちゃうこと、泣いちゃうこと、それから戦争のことも次々に思い出されて……。
『続 窓ぎわのトットちゃん』は2023年10月3日発売です。よかったらぜひ手に取って、「トットちゃん」のその後をあなたの目で確かめてみませんか?
文/立原由華里
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