そんなすーさんが15歳になった2019年、心臓発作で倒れてしまいます。一時は寝たきりになって介護状態に陥りましたが、奇跡の復活を遂げて、また散歩に行けるようになったんです。それでも、年齢から考えるとお別れの時期が確実に近づいていると感じました。

翌2020年は新型コロナウィルスが感染拡大し、私は在宅勤務が基本になりました。そのおかげですーさんを介護できたし、何かあってもすぐ対処できたので助かりました。5月に亡くなったのですが、大往生だったと思います。

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上から、すーさんとベルマ(右)、すーさんとみんみん(右)。すーさんはいつもおだやか。

猫たちの中でも、特にベルマがすーさんのことが大好きでしょうがなかったので、すごく落ち込んでいました。火葬のあと、すーさんの姿がないままなので、私にずっとにゃーにゃー文句を言い、ご飯を食べなくなって激やせしてしまいました。自分で「もうすーさんはいない」と悟るようになってからはご飯を食べ始めてくれましたが、ヒトのように繊細だな、と感じました。

 


そのベルマも、2022年に体調を崩してしまいました。時々吐く猫だったのですが、胃液を吐き始めてちょっと様子がおかしいと感じました。1泊の出張があったため、ペットシッターさんに託して行ったのですが、私の不在時は特に変化はなかったようでした。ただ、帰宅後にベルマがフラフラしていたので、翌朝に病院に連れていきました。そこで、「腎臓の数値が測定できないほど悪い」と言われ、即入院となりました。

その後、獣医師さんから「ベルマは生きる意志がない」と告げられました。点滴を打とうとすると、“何もしてくれるなオーラ”がすごいというのです。ベルマを保護した時から13年、ずっと見てくれていた獣医師さんがそう言うのですから、どこかヒトみたいなところがあるベルマが、「もう余計なことはしないでほしい」と主張していると感じました。家に連れて帰ったのですが、1週間後に亡くなってしまいました。出張から帰ってきた夜に救急外来に行くべきだったのではないか、など、今でもいろいろと考えてしまいます。

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いつでも見ていられる、犬1匹と猫3匹のお昼寝写真。

うちの犬や猫は10歳を過ぎた頃から、毎年血液検査をしたり、獣医師さんに診てもらったりしていたのですが、それですべての異状を早期発見できるわけではありません。すーさんは介護期間があったため、その間に少しずつ覚悟ができていきました。でも、ベルマはあっという間に逝ってしまったので、なかなか実感がわきませんでした。みんみんとアンバーは、ベルマの亡骸には絶対に近づこうとはしなかったので、あの子たちにも何が起きたかはわかっていました。

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左からみんみん、アンバー、ベルマ。みんな仲良し。

長らく続いた、犬1匹と猫3匹の暮らしも、今では猫2匹になってしまいました。今年夏にアンバーが吐き出して、急いで病院に連れて行ったら、ベルマと同じ急性腎不全であることが明らかになりました。でも、発見が早かったので、毎日の自宅での皮下点滴と療養食で経過観察をしています。ベルマの時の経験が、アンバーを助けてくれたと感じています。

縁あってうちに来てくれた犬と猫は、小さい頃から一緒なので、私は彼らの変化をすべて把握しています。私も彼女たちが嫌がるようなことはしない、向こうも「まぁいいか」とのんびり構えていて、この適度な距離感はシニアならではの良さだと感じています。彼女たちがひだまりで寝ているだけで平和でいいなと思わせてくれます。

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約6kgとむっちりボディのみんみん。箱があれば、もちろん入る。

世の中には、外で生まれてしまったたくさんの子猫たち、虐待されたり、年老いたからといって放棄されたりする犬や猫がいます。個人では到底、その全てを受け入れ、救うことはできません。でも、私が大型犬とたくさんの猫と暮らしている時に、多くの人たちに助けてもらったように、困っている誰かを助けたり、そういう活動をしているNPO法人に寄付をしたりすることはできるのではないかと思っています。今、私が寄付をしているNPO法人は、ベルマが網戸を開けて脱走してしまった時に、捕獲器を貸してくれ、いろいろアドバイスをしてくれたところです。

今は穏やかな暮らしが続いているものの、ベルマの時のように、いつ突然終わってしまうかわからない、という心持ちでいます。あと2回は私がひとりで見送りをしなくてはならず、そのことを考えるととても辛いのですが、飼い始めた以上は全うすべき責任ですし、今まで彼や彼女たちが与えてくれたものを考えると、辛くても向き合うに値することだと思っています。


イラスト/Shutterstock
文・編集/吉川明子
 

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