――日々、多くのお客様の白髪染めをされていて何か感じることはありますか。
西川さん:美容師とお客様でギャップがあるなと感じるのは、白髪染めは使いたくない、という声をよく聞く時です。白髪染め=悪ではなく、ファッションカラーでも白髪が染まるならそれは白髪染めです。
白髪染めとファッションカラーは得意分野が違います。ファッションカラーは基本的には明るくするのが得意なカラー剤。白髪染めは色を入れるのが得意なカラー剤です。
ファッションカラーの方がアルカリ性が強い、パワーの強いお薬を使うので、白髪に色を入れたい時には、白髪染めを使った方が頭皮には優しかったりします。要は美容師の使い方次第なんです。
――白髪染めで失敗しないためのアドバイスをいただきたいです。
西川さん:白髪ぼかしをトライする時には、自分の白髪率に合わせたものを提案してくれて、かつ、日にちが経った後にどういう髪の状態になるかを逆算してカラーを提案してくれるサロンに通われるのがおすすめです。
白髪ぼかし自体は理容室のカラー文化なので昔からありますが、一般的に女性のヘアカラーとして流行したのは最近なので、どの美容師さんでもできるわけではありません。
今まで体験していないカラー(白髪を活かすカラー)だからこそ、しっかりとしたカウンセリングと、次回の来店時までの髪の状態などを共有してくれる美容師さんがおすすめです。
この共有がないと、思ったより明るくなった、白髪が結局気になる、など悩みにアプローチできなかった施術になってしまいます。
白髪でお悩みの方はぜひ担当させていただきたいです!
また、艶へのアプローチも大切です。
憧れの女優さんのようになりたいとか、もっと若く見せたいというのではなく、清潔感があり、手間のかからないナチュラルヘルシーなヘアスタイルを求めるお客様が多いです。髪が綺麗で艶があると、白髪があっても素敵に見えます。
グレイヘアとグレー色は違う。グレイヘアへの移行には白髪を育てることが大事。
――続いて、グレイヘアへの移行のコツについて教えてください。
西川さん:まず、グレイヘアに移行されたい時に知っておきたいのは、グレイヘアとグレー色は違うということです。グレイヘアにしたいとおっしゃられるお客様がよく持ってくるヘアスタイルのお写真は、疑似的に作ってる色だというのが多いんです。下の画像の方はグレイヘアじゃなくてグレー色なんです。
グレイヘアは地毛に戻していくので、白髪率が高ければ明るめになり、白髪率が低ければ暗めになります。
要は白髪率に左右されるんです。
グレー色は擬似的に作った色なので、その場はいいんですが、日にちが経って色落ちすると元の髪色に戻ってしまいます。また、グレー色は3日で抜けると言われるほど、すぐにベースのカラーになってしまうんです。
特に、ブリーチをして作るグレーはすぐにブロンドになります。
カラーをしているところを切り落として、地毛にするのがグレイヘアです。
グレイヘアとなると地毛に戻さないといけないので、まずは根本の白髪を育てていくのが大事です。ただ、普通にカラーをベタっと全体に塗ると、根本の白髪が伸びてきた時に境目がくっきりできてしまいます。これは「横」のラインで塗っているからなんです。そこで、ハイライトで「縦」の筋を作ると、境目が出にくくなるんです。
次に、白髪率によってアプローチが変わってきます。
白髪率が低い人だと白髪を育てる必要があるので、グレイヘアに移行したい時にはまずはこのくらいは伸ばしていただきたいなと思います。
また、一回で完全なグレイヘアに移行するのはなかなか難しく、擬似的にグレイヘアに見せるために、ブリーチを使って、全体を白髪っぽく色を抜くという方法もあります。この場合だと、ブリーチ部分の色が抜けやすいので、ご自宅でカラートリートメントをしていただくことも大事です。
グレイヘア=染めていない元の状態に戻していくので、白髪率が低いと暗くなり、白髪率が高いと明るいグレー、ホワイトのような色になります。
真っ黒染めをしていたり、しっかり染めている方は一度ブリーチで明るい髪のベースを作った方が移行しやすいのでそうする方が多いです。
白髪率の高い方はブリーチなしでブロンドやグレーの色を淡く乗せるだけで綺麗に色が入ります。
ブリーチを使用していないので褪色後もそこまで色が変わりません。
グレイヘアでも真っ白にしたくない方や部分的に白髪が多い方は、やはり全体を「横」にベタっと染めると、伸びてきた時に境目が出やすくなってきてしまうので、白髪を染めるというよりは、ハイライトだけでつなぐような染め方をしています。
根元を見てもらうと白髪が残っているのですが、境目がわかりにくくなっていますし、全体的に色が入っていて老けた印象にならないので、こういう染め方をする方もいらっしゃいます。
白髪ぼかしのハイライトだと細く入れているので、褪色しても太いメッシュのようにならず、上品さも残るのでミドル世代でもトライしやすいと思いますよ。
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次回の「SNSで見つけた『バズり人』さん」もお楽しみに!
構成・文/大槻由実子
編集/坂口彩
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