「賢い女が幸せになるには、頭の悪いフリをするしかないの」
4月1日にスタートした朝ドラ『虎に翼』(NHK総合)の台詞に、「ううう……」となった人もいるのではないでしょうか。「うわぁ、こんな時代があったんだ」と、昔の話として流すことができないのは、令和のいまでもこのような風潮が残っているから。
本作のヒロイン・寅子(伊藤沙莉)が生きている1930年代なんて、もっとひどい。「女のくせに!」は、男性の常套句。明治民法下で既婚女性は“無能力者”と定められているため、まるで夫の所有物かのような扱い。何を言われてもスンと耐えるのが、女性の美学とされていました。
ちょっとずつ、女性を取り巻く環境が変わってきたのは、寅子のように「こういうことに慣れちゃいけない」と先陣を切って声をあげてくれる人がいたから。“女賢くて牛売り損なう”なんて言われていた時代に、賢さを武器に戦っていた寅子。
ただ、寅子のように新しい時代を開拓していく生き方をしていた女性だけでなく、結婚して子どもを産み……という当時の普通を生きている女性たちのこともきちんと描いているのが、『虎に翼』の美しさ。どんな生き方を選んだ人にとっても、エールを送ってくれる朝ドラが誕生しました!
寅子の親友・花江は第二の主人公?
2017年、『ゼクシィ』のCMで流れた「結婚してもしなくても幸せになれるこの時代に 私は、あなたと結婚したいのです」というコピーが大バズりしました。一度は耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。
寅子の兄・直道(上川周作)と結婚した花江(森田望智)は、現代に生まれていればおそらくこう思っているタイプ。「あたしは、女の人のいちばんの幸せが結婚って決めつけられるのが、どうしても納得できないのかもしれない」と言う寅子に、「結婚して、良き妻、良き母になる。それが、これまで育ててくれた両親に報いることになるんじゃない」と返している場面があったので、最初は周囲が提示する“当たり前”に染まっている女の子なんだろうなぁと思っていましたが、とんでもない! 回を重ねるごとに、花江も寅子と似た部分があるのでは? と感じるようになってきました。
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