1人で悩まず、病院へ
このように尿失禁の種類は3種類で、原因は多岐にわたりますが、対処法はあります。
腹圧性尿失禁は、症状が軽い場合は、外尿道括約筋や骨盤底筋群を鍛えることで改善が期待できますし、症状が重い場合も、手術でほぼよくなります。
手術も進化しています。これまでは弱った筋膜を補強する「メッシュ手術」という治療法が中心でした。弱ってしまった筋膜に代わって膀胱や尿道を支えられるよう、お腹に「メッシュ」と呼ばれる人工物を入れる術法です。
ただ、この手術はからだに異物を入れるため、副作用も多く報告され、今では行われなくなりました。その代わりにレーザーにより膀胱周囲を温めることで、失禁を治す治療が普及しつつあります。
レーザー手術は開腹手術ではなく、患者の肉体的な負担も時間的な手間も少ないうえ、症状の改善が期待できるというメリットがあります。あまり怖がらずに専門家に相談するといいでしょう。
過活動膀胱による切迫性尿失禁には薬がある程度効果があります。
溢流性尿失禁には、前立腺肥大症の治療あるのみです。肥大の進行度によって、投薬治療、超音波を使った手術、肥大部分を切除する手術などが考えられます。
著者プロフィール
堀江重郎(ほりえ・しげお)さん
泌尿器科医、医学博士。1960年生まれ。日米の医師免許を取得し、米国で腎臓学の研鑽を積む。2003年帝京大学医学部主任教授、2012年より順天堂大学大学院医学研究科泌尿器科学主任教授。順天堂医院泌尿器科長。腎臓病・ロボット手術の世界的リーダーであり、科学的なアプローチによるアンチエイジングに詳しい。日本抗加齢協会理事長、日本メンズヘルス医学会理事長。
『尿で寿命は決まる 泌尿器の名医が教える 腎臓・膀胱 最高の強化法』
著者:堀江重郎 SBクリエイティブ 1540円(税込)
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写真:Shutterstock
構成/金澤英恵
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