1万円からOK!元本割れの心配がない国債

相談者の綾子さんのようにお金に無頓着ということであれば、まずは元本割れの心配がない(投資したお金が目減りしない)「個人向け国債」から考えてみてはいかがでしょうか。

国債は国が発行する債券(借用証書の一種)で、私たちはその国債を証券会社や銀行などを通して購入することができます。「国債を購入=国に一定期間お金を投資する」ということになりますが、投資の見返りは、半年に一度利子という形で支払われます。

個人向け国債には「固定3年」「固定5年」「変動10年」という3つの商品があり、いずれも0.05%(年率)の最低金利が保証されています。財務省のWebサイトには「個人向け国債お試しシミュレーション」が用意されていますが、こちらで購入金額に対する受取利子額を確認することができます。

たとえば、8割の方が購入するという「変動10年」を100万円分購入した場合、適用金利が確定している利子支払期までの受取利子は2500円(税引前)とごくわずか。株式や投資信託などと比べてリターンは小さいですが、低リスクでの投資が可能なので、貯蓄の一部を国債へ投資をするというのも1つの選択肢です。

 


お金の運用をプロに任せる投資信託

投資信託は、お金の運用をプロに任せる金融商品です。運用成績によっては元本割れのリスクもありますが、個人で運用するよりは低リスクの投資方法です。経験が少ないのであれば、まずはここからスタートするのもおすすめです。

NISAには、投資信託が6000本近くありますが、中でもよく知られているのが世界中の株式指数の動きを捉えた運用を目指す「全世界株式」です。どの国がどれくらい成長するかを正確に予想することは難しいので、国や地域を分散させておく方がダメージも少ないと言われています。オルカンの呼び名で知られる「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」や「楽天・全世界株式インデックス・ファンド(楽天・VT)」などは、投資家からもおすすめ商品として紹介されています。


資産運用の資金はいくら必要?

資産運用といえば投資ですが、いくら貯金があったら投資を始めるべきなのか、という疑問が出てくるかもしれません。投資を始める前に最低限の貯金額を決めておくことは大切ですが、仮にまとまったお金がなかったとしても投資はできます。

ただ、長期にわたってそれなりのリターンを考えるのであれば、私の個人的な感覚ですが、300万円がひとつの目安と考えています。300万円あれば、資産運用の資金として十分活用できます。

三井住友銀行は4月から、社会課題解決につながる融資に限定したドル建ての定期預金「ソーシャル預金」の提供を始めました。個人向けは期間1年の定期預金で、金利は通常のドル定期預金と同じ年4.5%で提供されます。

岸田政権は2023年を「資産所得倍増元年」とし、ここ1年あまり「貯蓄から投資へ」を猛プッシュしています。投資を始めるにあたっては、どのような方法を選ぶべきか、さらに何に投資するかは悩みどころですが、まずは新年度、情報収集からでも始めてみてはいかがでしょうか。


構成/渋澤和世
取材・文/井手朋子
イラスト/Sumi
編集/佐野倫子

 

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