生理の勘違い②——生理でも「温泉やプール」に入れる?!

生理中は「感度が良くなる」「避妊なしでOK」?! 彼氏や夫に読んでほしい「生理の勘違い」。産婦人科医が伝える注意点_img0
 

温泉旅行に行ったとき、彼女が生理に……。そんなとき、「生理中でも温泉くらい入れるでしょ?」と言い放つ彼氏の情報が寄せられています。また、「生理中でも水中では血は止まるんだから、プールに入れるよね?」という人もいるんだとか(中には教師から言われたという声も)。実際のところはどうなんでしょうか?
 


 柳田先生の見解 
生理中は清潔を保つことがとても大事です。膣周りに血液が残っている状態を放置すると、そこに雑菌が繁殖しやすくなります。ですので、いつも通り一人でお風呂に入ったり、シャワーを浴びることは問題ありません。ただし、不特定多数の人が利用するような環境、例えば温泉やプールに入ったりすると雑菌が入りやすく、逆に膣の中が不衛生な状態になることもあります。

生理中の性交渉も、手の雑菌などが入りやすくなるので、子宮の中に炎症が起こる原因にもなり得ます。絶対ダメとは言わないですが、やはり避けた方がいいと思います。
 

 


 もっと教えて!柳田先生 
●なぜ「生理」のときに「雑菌」に弱くなる?


——先生、そもそもなぜ「生理中は雑菌が入りやすくなる」のでしょうか?

柳田先生:生理の経血は、子宮の内膜という組織が、子宮の壁から剥がれて、そこから出血をしている状態です。通常、外からの雑菌などの侵入を防ぐために、子宮の入り口は閉じているのですが、生理中は中に溜まった血液や子宮内膜を排出するために、少し開くんです。

生理ではないときは、膣の中を正常な状態に保っておくため、元々生息している細菌がいるのですが、生理中はそうした免疫機能もどうしても落ちてしまう。つまり、感染に弱い状態になります。また、血液は雑菌にとってはいい栄養になるので、膣内に血が溜まっている状態・残っている状態というのは、雑菌が繁殖するには好環境になってしまうんですね。
 

●膣に雑菌が繁殖するとどんなことが起こる?


——もし雑菌が膣に侵入すると、どのようなことが考えられますか?

柳田先生:何かのきっかけで膣に雑菌が繁殖してしまうと、生理中は子宮の入口も開いているため、子宮にまで雑菌が侵入しやすくなってしまいます。子宮は卵管という管で繋がっていますが、卵管はその中が空洞になっていて、お腹の中と繋がっています。子宮の中で菌による感染を起こすと、卵管の方にも炎症が広がってしまい、さらにお腹の中に炎症が広がると「腹膜炎」を起こしたり、「卵管炎」などのより重篤な感染症につながる可能性があるんです。