解決策は「ブレインストーミング」で見出せる

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写真:Shutterstock

では、あなたの伝えたいことを交渉相手にも理解してもらうためには、どのような伝え方がよいのでしょうか。

まず第一に、何についての対立なのかをはっきりさせます。
具体的には、
・何についての対立なのか問題点を明確化する
・意見が対立した原因・背景を探る
・目指している目標自体が異なるのか、お互いが誤った理解をしているのかを探究する
・自分が何を望み、何に不安を覚えているのかをIメッセージで伝える

第二に、いろいろな解決策を出し尽くしてみます。その際は、できるのであれば、「ブレインストーミング」(ブレスト)を行うことをお勧めします。

ブレストとは、双方の意見が対立したときなど、お互いの考えや意見を自由に出し合い、お互いの希望を満たしたり、妥結点、解決策を見つけ出すための手法です。


<ブレストのやり方>
 ブレインストーミングのプロセスは、以下のようになります。
・こちらと相手が協力して問題解決のためのアイデアを出し合う
・アイデアは一定時間を決めてその間にできるだけたくさん出す
・どんなに非常識なアイデア、突拍子もないアイデアであってもOKとする
・出たアイデアについては、出た時点で評価はせずに記録していく
・出し合ったら、出てきた解決策を1つひとつ評価して、一番良い解決策を選ぶ
・その解決策をどのように実行するかを決める
・実行の結果を検証する
 ブレストの際に注意する点としては、
・自由な雰囲気をつくること
・アイデアの質よりも量を重視すること
・現実的ではないと頭で搔き消さずに思いついたらすぐに言うこと
・ブレストの最中は、アイデアに対して良い悪いの評価はしないこと
・相手のアイデアを膨らませるような発言も歓迎すること です。
(アレックス・オズボーンによるブレインストーミングの基本ルール)

 


最も良い解決策、あるいは妥協案を見つけ出すためには、固定観念や先入観、社会通念にとらわれずに意見を出し合うことが大事です。

もちろん企業間の取引や折衝など、ブレストができないケースも多いと思います。ですが、家族間や友人間、社内での意思決定、折衝など活用できる場面は多数あります。自由に意見を言えて、否定もされない前提ですので、普段あまり意見を言えない引っ込み思案の方であっても意見を出すことができるはずです。

 


●著者プロフィール
保坂康介(ほさか・こうすけ)さん

1977年秋田県生まれ。弁護士/カウンセラー。明治大学政治経済学部卒。ドラマ「HERO」をきっかけに司法試験を目指し、2007年旧司法試験に合格。勤務弁護士として5年間の実務を経験した後、2014年10月に独立する。以降、東京都新宿区で法律事務所FORWARDを運営。延べ1500件以上の訴訟、調停、交渉代理の経験をする中で「理屈で攻めるより相手の心理も踏まえた交渉のほうが依頼者を幸福度の高い解決に導ける」ことを実感。2019年から心理学を学び、カウンセラー資格を取得。聴き方、伝え方、各種心理ワークを弁護士業務に活かすことで、ほぼすべての依頼者にとって満足度の高い交渉結果を生み出すに至っている。

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構成/金澤英恵

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