④ 目のキワギリギリに施すアイライナーやマスカラは大人がフォローを
大塚先生:目のキワやまつげに塗る=眼球のすぐそばということ。誤って眼球を傷つけてしまったという報告もあります。そのため、まだ器用に描けない年頃のお子さんなら、大人が塗ってあげてください。
⑤ メイクをしっぱなしにしない。クレンジングはマスト
大塚先生:メイクを肌にのせた時間が長くなればなるほど、肌にとって負担になるため、その日のうちに落とすのは大前提です。石鹸やいわゆる普通の洗顔で落ちるとうたっているものならいいのですが、基本的には、クレンジングを使ってちゃんと落としてあげましょう。とはいえ、子供用のクレンジングはなかなか入手しにくいのが現実。敏感肌用のクレンジングを選ぶのがいいと思います。また、拭き取りタイプは手軽なため好まれがちですが、特に頬骨のあたりなどを拭き取る時、どうしても摩擦を起こしがち。この摩擦によるダメージが肌の中で積み重なり、何十年も後になって肝斑の元にもなりえるので、気を付ける必要があります。クレンジングはミルク、ジェルなど、いずれの場合も優しくこすらないように! そして、基本的なことではありますが、すすぎをきちんとすることも大事。大人の方にも言えることですが、フェイスライン、首との境目あたりは特に注意が必要です。きちんとすすげているか、大人がチェックしたり、手伝ってあげましょう。
⑥ クレンジングしたら保湿はセットで考えるべし
大塚先生:クレンジングによって、メイクとともに肌に必要な潤いまで落ちてしまうため、肌が乾燥しやすくなります。そのため、メイクをしてクレンジングをした日は、しっかりと保湿までしてください。子供用の保湿剤、もしくは敏感肌用のものを選ぶのがいいと思います。また、アイテムとしては、化粧水が好まれがちですが、それだけでは潤いが逃げてしまうため不十分。上から保湿クリームを重ねるようにしてください。お風呂上がりすぐなら、すでに肌に水分がある状態なので、保湿クリームだけでもいいと思います。その場合も、ワセリンやセラミドなど皮膚科でも処方される成分をメインとした敏感肌用コスメがいいでしょう。子供の肌への刺激が高いため、レチノールやアルファヒドロキシ酸(グリコール酸、アスコルビン酸〈ビタミンC〉、クエン酸など)に加え、アロエ、シカ成分といった特徴的な成分が入っているものや、複雑な処方のものは避けた方がベター。
⑦ 10年後20年後の肌のことを考えて摩擦は極力避ける
大塚先生:メイクや洗顔時の摩擦程度では、強い紫外線を浴びた時ほどのダメージはないですが、それでも肌荒れの原因になりますし、将来的なシミや肝斑などトラブルにつながります。そのため、メイクのときも、スキンケアのときも肌を必要以上にこすらないように教えてあげることが大切です。
⑧ 清潔を保つこと。古くなったら新しくすること
大塚先生:雑菌の繁殖についての研究を見てみると、清潔にしていないと、あっというまに雑菌は増殖します。そのため、肌やコスメに触れるときは、必ずキレイな手で。チューブ容器のものなどは直接、先端に触れないようにし、ジャータイプのものもスパチュラを使うのが好ましい。アイシャドウは直接指で触れたり、リップも直接唇につけたりしますので、開封したら1年以内で買い替えてあげましょう。敏感肌用など防腐剤の入っていないものは、もっと早く取り替えたほうがいいと思われます。ときどき、お子さんのメイクボックスを一緒にチェックしてみてください。
以上が、キッズメイクをするうえで、見守る大人が押さえておきたいポイント。「子どもの肌は敏感であるということをきちんと認識したうえで、楽しむということが大切。大人のようにばっちりフルメイクではなく、ポイントメイクで、注意点を押さえながら楽しんでみてくださいね」と大塚先生。子供が一生懸命メイクする姿は可愛すぎて、つい“なんでもOK”にしてしまいたくなりますが、子供の肌の“治安”を守るためにも、あたたかく見守りつつ、必要に応じて、手や口を出すこともぜひ心に留めておいてください。
撮影/柏原力
取材・文/楢﨑裕美
前回記事「【子供のメイク、あり?なし?】SNSから大流行りの小学生メイク。皮膚科医に学ぶ、見守る大人が知っておきたいこと」>>
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