世界最高峰の老年医学科で働く山田悠史医師が、脳の老化と認知症の進行を遅らせるために「本当に必要なこと」「まったく必要でないこと」を伝えます。

牛丼、ハンバーグ定食…夜遅くの「こってりご飯」が、認知症につながる理由【山田悠史医師】_img0
 

山田 悠史
米国内科・老年医学専門医。慶應義塾大学医学部を卒業後、日本全国の総合診療科で勤務。新型コロナ専門病棟等を経て、現在は、米国ニューヨークのマウントサイナイ医科大学老年医学科で高齢者診療に従事する。フジテレビ「ライブニュースα」レギュラーコメンテーター、「NewsPicks」公式コメンテーター(プロピッカー)。カンボジアではNPO法人APSARA総合診療医学会の常務理事として活動。著書に、『最高の老後 「死ぬまで元気」を実現する5つのM』『健康の大疑問』(マガジンハウス)など。
X:@YujiY0402
Podcast:山田悠史「医者のいらないラジオ」
Spotify Apple Podcasts Anchor Voicy

 


夜遅くにこってりご飯を食べる習慣がある人のリスク


仕事の帰りが遅くなり、手っ取り早く夕飯を済ませようと、夜遅くに駅前の牛丼チェーン店に入り大盛牛丼を注文する。私は今でこそ米国に住みそんなことはできなくなりましたが、日本に住んでいた頃はしばしばあったものだと思い出します。

夜遅くまで営業している牛丼屋さんは、夜遅くまで働く人々にとって、ありがたい選択肢であり続けていることでしょう。仕事で溜まったストレスを吐き出そうと、大盛の牛丼や、ボリューム満点のハンバーグ定食を夜遅い時間についつい食べてしまうということも珍しくはないかもしれません。なにせ時短もできて、コスパも高い。「これほど良い選択肢は他にない」と私自身も思っていた時がありました。しかし実は、そんな習慣もあなたの認知症リスクに影響を与えている可能性があると知れば、考え方が少し変わるかもしれません。

牛丼、ハンバーグ定食…夜遅くの「こってりご飯」が、認知症につながる理由【山田悠史医師】_img1
写真:Shutterstock

過去の研究によれば、夜遅くにボリュームのある食事をする習慣がある人は、そうでない人と比べて、肥満になったり、いわゆる「悪玉」コレステロールが高くなったりするリスクが高いそうです(参考文献1)。これはなんとなくイメージができる人も多いでしょう。

夜遅い食事がなぜ肥満やコレステロール値の変化につながるのか、その理由は私たちの体内リズムと深く関係しています。どうやら、私たちの体は1日の時間帯によって食べ物の処理能力が大きく変化するようなのです(参考文献2)。夜になると血糖値が上がりやすくなったり、胃の消化スピードが遅くなったりします(参考文献3,4)

こうした変化は、夕方16-17時頃を境に段々と大きくなっていくため、理論的には18時からの食事よりも、21時や22時からの食事の方が、肥満などの問題につながりやすいと考えられます。