母親の“背景”を知ることで、行動が理解できるようになる
M子 ではいよいよカウンセリングに入っていきますが、ここからはどんな流れになるでしょうか?
根本 まず1つめは「感情の解放」。お母さんに言いたかったこと、言えなかったこと、してほしかったこと、我慢したことなどを全部吐き出していきます。2つめは「感情的理解」。これは、お母さんの行動を気持ちで理解するということです。
この1つめと2つめが、先ほど説明した【ゆるし】のための準備プロセスになるんですが、なかでも1つめの「感情の解放」は、ぜひ時間をかけてじっくり取り組んでほしいところです。さっき「許せる気がしない」と言っていたのがまさにそうですが、M子さんは現状、お母さんへのネガティブな感情に囚われている状態です。これを一回全部吐き出して、いったん心をフラットにしないとお母さんを客観的に見られませんから、その次の「感情的理解」にも繋げることができないんです。
M子 うっ、たしかに……。あの、さっき根本先生の「どんな毒母であろうと」という言葉で思い出したんですが、毒母についての書籍やネットの記事を見ると、よく「否定タイプ」とか「束縛タイプ」というようにタイプ分けがされていますよね。これも心理学の基本的な考え方なんでしょうか? というのは、例えば私の母親は「否定」と「束縛」のどちらにも当てはまる気がして、結局よく分からなかったということがあったので。
根本 タイプ分けをすることで、複雑な心の話が分かりやすくなるというメリットはあると思います。ただ僕個人としては、母親の行動にパターンはあってもタイプ分けはできないと思っています。それは、その行動にいたるまでの背景は一人ひとり違うから。母親の両親はどんな人だったのか、兄弟姉妹はいるのか、いたら何人きょうだいの何番目なのか。出身地、育った時代、家の経済状況なんかもそう。そうしたいくつもの要因が複雑に絡み合い、影響し合った結果です。
母親の背負っているものを知ることで、行動が理解できるようになります。これはそのまま2つめの「感情的理解」の作業になりますね。
M子 なるほど。背景を知ることが理解に繋がる、というのはすごく腑に落ちました。
根本 そして3つめが「母に感謝する」、4つめが「恩恵を受け取る」。「感謝する」と「恩恵を受け取る」は別の工程ですが、まとめて一つの流れとして捉えることも可能です。
M子 ……感謝するんですか。
根本 また引っかかってますね(笑)。これがどういうことかというのは、カウンセリングのなかで説明していきましょう。とにかくこの「感謝」の段階まで辿り着ければ、今抱えているしんどさは相当ラクになっているはずですよ。
前回記事「「毒親という言葉は、あくまで一時的な避難場所」母がしんどいアラフォーの娘が、人生ラクになる方法を人気カウンセラーに聞いてみた」>>
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