5分間ダンスをすると、ストレスや疲労解消に!
ヨーク大学のマクシン・キャンピオンとシェフィールド大学のリアット・レビタの研究でも、5分間ダンスをすることでストレスや疲労の解消に効果があるということが分かっています(※7)。
バンザイしたり、ガッツポーズをしても、気分はアガります。心のコントロールも重要なアスリートが、体を大きく動かして喜びを表現するのも、それが効果的であることを知っているからでしょう。
ただ、どうせハッピーアクションをするなら、運動として負荷のある動きができれば、運動そのものの効果も得られます。ウォーキングやランニングに比べると、ダンスは部屋の中でもできるので、一人家で気が塞いでいるときにもやりやすいでしょう。
「弾けないギターを弾くんだぜ」という電気グルーヴの曲のように、「踊れないダンスを踊る」でかまいません。
ぜひみなさんも、元気を出したいときは、ちょっとコミカルな動きとかも加えて、腰を振ったり、手を大きく振り上げたりするくらいでもいいので、適当に楽しく踊ってみてはいかがでしょうか。
世界的なミュージシャンであった故・坂本龍一氏も、こういった一連の研究結果があることを知って、楽しい動きをして気分をアゲるようにしていたという話もあります(実は、光栄なことに、筆者は40年以上の坂本龍一氏のファンなのですが、筆者が書いたこの現象に関するウェブの記事を坂本氏が読んで、実践してくれていたというありがたい話も聞いています)。
世界中のあらゆる文化にも踊りがあります。どんな未開の文化でもあります。古代から存在するものも数多くあります。しかも、そういう踊りの多くは、喜びを表すものです。嬉しいと体を動かしたくなるし、嬉しい動きをすることでさらにハッピーになることを人類は経験から知っているようです。
参考文献
1)Libet, B., Gleason, C., Wright, E., & Pearl, D.( 1983a). Time of conscious intention to act in relation to onset of cerebral activity( readiness potential): The unconscious initiation of a freely voluntary act. Brain, 106, 623–642.
2)Carney, D. R., Cuddy, A. J., & Yap, A. J. (2010). Power posing: brief nonverbal displays a ect neuroendocrine levels and risk tolerance. Psychol. Sci., 21, 1363–8.
3)Wilkes, C., Kydd, R., Sagar, M., & Broadbent, E.( 2017). Upright posture improves a ect and fatigue in people with depressive symptoms. Journal of Behavior Therapy and Experimental Psychiatry, 54, 143–149.
4)Nair, S., Sagar, M., Sollers, J., Consedine, N., & Broadbent, E. (2015). Do slumped and upright postures a ect stress responses? A randomized trial. Health Psychol., 34, 632–641.
5)エイミー・カディ(石垣賀子 訳()2016)『. 〈パワーポーズ〉が最高の自分を創る』早川書房.
6)Peper, E., & Lin, I.-M. (2012). Increase or decrease depression: How body postures influence your energy level. Biofeedback, 40(3), 125–130.
7)Campion, M., & Levita, L. (2014). Enhancing positive affect and divergent thinking abilities: Play some music and dance. The Journal of Positive Psychology, 9(2), 137-145.
著者プロフィール
堀田秀吾(ほった・しゅうご)さん
明治大学法学部教授。言語学博士。
熊本県生まれ。シカゴ大学言語学部博士課程修了。ヨーク大学ロースクール修士課程修了・博士課程単位取得満期退学。専門は、司法におけるコミュニケーションの科学的分析。言語学、法学、社会心理学、脳科学などのさまざまな分野を横断した研究を展開している。テレビのコメンテーターのほか、雑誌、WEBなどでも連載を行う。『最先端研究で導きだされた「考えすぎない」人の考え方』(サンクチュアリ出版)、『誰でもできるのにほとんどの人がやっていない 科学の力で元気になる38のコツ』(アスコム)など、著書は50冊を超える。
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写真/Shutterstock
構成/金澤英恵
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