「もう1回聞かせて」で鉄板ネタを褒める
聞き方上手な徹子さんから学んだ点は他にもあります。
「徹子の部屋」のやりとりを注意深く見ているとわかるのですが、ゲストから前に聞いた面白い話を、「あの話、また聞かせてちょうだい」とお願いしていることがよくあります。すると相手は「またですか?」と言いながらも、まんざらでもない様子で嬉しそうに話しはじめるのです。
あなたにもきっと1つや2つあるはずです。なにかにつけて友だちに話題にされる自分の思い出話が。
私も、親友に人を紹介するといつも話題にされる鉄板ネタがあります。
その親友が両国で一人暮らしをしていた家にはじめて泊まりに行ったとき。私が両手に缶チューハイを持って、パンパンに詰め込んだリュックを背負って、目をキラキラ輝かせながら駅前で待っていた、というだけの話ですが。
それを親友が会う人会う人に話すので、「またこの話か」と思いつつも、みんな笑っておもしろがってくれるし、そのときの思い出もよみがえってきて和やかな気分になります。
徹子さんもきっと、「またか」と思われても、前に聞いた話をもう一度楽しみたいのだと思います。ゲストも、「よく覚えてくれているな」と嬉しいはずですよね。
会話のリズムがテンポよく進んでいくのも、「あなたの話を聞くのはとっても楽しいわ!」と、言葉や態度で徹子さんがアピールしているからなのでしょう。
山田千穂(やまだ・ちほ)さん
記者。埼玉県川口市出身。1988年生まれ。『週刊ポスト』『女性セブン』で記者を約10年経験。芸能、事件、健康等の記事を担当。取材で、聞く力、洞察力、コミュ力を磨く。3000人以上に取材。直撃取材、潜入取材を得意とする。大学在学中は渋谷109で販売員としてアルバイトをし、お正月セール時には1日最高500万円を売り上げる。趣味は、森林浴、一人旅、バーで飲むこと。好きな食べ物は、ラーメン、甘味、納豆ごはん、そしてお酒。
『ずるい聞き方 距離を一気に縮める109のコツ』
著者:山田千穂 朝日新聞出版 1760円
元カリスマ店員で現役週刊誌記者の著者が明かす、相手の心をつかむ「聞き方」の極意!競争激しい現場で培った、取材や販売に役立つ「あざとくても憎めない109のワザ」を大公開。「その気がない相手がつい本音を語ってしまうワザ」「気分よく話してもらう魔法のワザ」「心のガードを一瞬で外すワザ」など、仕事やプライベートで役立つ実践的なテクニックが満載です。
構成/樺山美夏(『ずるい聞き方 距離を一気に縮める109のコツ』)
写真/Shutterstock
構成/金澤英恵
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