せっかく年下男性と出会ったのに…
結局美保さんは、仕事と育児優先で、とにかく忙しい日々を過ごしていたそう。そんな中、仕事上のつながりで現在の夫と出会ったと言います。
「仕事のとあるイベントの同時通訳をしていて、その打ち上げパーティーで初めて夫と出会い、古い言い方ですが、まさに“ビビビ”ときたんです。何だか素敵な人だな、と。外見も雰囲気もタイプでした」
運命的な予感、というものはあるのでしょうか。
また美保さんはちょうどその頃、既婚の知人友人も増え、自立した夫婦関係に憧れが芽生えていたそう。元夫は古い男尊女卑の価値観を持っているタイプで、「結婚=自由が制限されるもの」と思い込んでいましたが、お互いを尊重しながらのびのびと過ごす都会の夫婦に刺激をもらったそう。
「久しぶりに心が動いた出会いで、会話も盛り上がったのですが……でも、彼は5歳も年下のまだ20代。私は恋愛経験も少ないので、接し方もよくわからず。特に発展はせずその場で終わってしまい、その後はちょくちょく仕事で顔を合わせる程度の繋がりでした」
しかし美保さんは、持ち前の生真面目さ、素直さゆえに、再び驚く行動に出たのです。
「せっかく素敵だと思える男性に出会えたのに、手も足もでない自分が不甲斐ない気持ちで、彼と顔を合わせるたびモヤモヤして……そんな状況を脱却したく、モテるために藁にもすがる思いで恋愛本を読み漁ったんです」
思わず、「Tinderの次は恋愛本ですか?!」と聞き返してしまいました。
正直に言うと、美保さんは真面目で上品、控えめな雰囲気も然り、また容姿にもかなり恵まれた女性なので、マッチングアプリや恋愛本に頼る姿があまり想像できないのです。
「だって他に方法が思いつかなかったんです。恋愛経験が乏しい、いい歳の女が痛い思いをするのは嫌で……だったら勉強するしかない。本当に、とにかく本を読みました。Kindle Unlimitedで出てくる恋愛本は片っ端から読んだのはもちろん、でも一番参考になったのは海外の心理学系の本です。
『年下の男性の心を掴む方法』『大人の恋愛』『バツイチで再婚する方法』『年上女性の振る舞い方』……など、そういった類の本を読み耽りました。すると何となく、ああ、男の人って基本的にこういう女性を好むんだ、こんな発言や態度は良くないなとか、男性と接するコツの全体像が掴めるので、あとは試行錯誤でモテテクを実践しました」
恥ずかしそうに微笑む美保さん。非常に意外でしたが、たしかにひたむきに努力をすれば、恋愛が実る確率は上がるのでしょう。
「男性が好みそうな服を着たり、男性心をくすぐる発言を意識したり、王道の『さしすせそ』を連発したりとか、彼の前でとにかく楽しそうに振る舞う、でも会っていない時はダラダラ連絡をしないなど……今思えば、滑稽なくらい小手先テクニックを使いましたね。
その甲斐あってか関係は段々と深まり、あるとき仕事後の流れで、2人で食事に行くことになったんです」
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