「こんなに楽しい撮影現場は久々。ある意味、僕がイタリア人になっていくストーリーでもあるんですよ」。俳優で歌手の中島健人さんが出演するHuluオリジナル『コンコルディア/Concordia』の、ローマでの撮影現場を振り返った言葉には新鮮な思いが溢れていました。海外ドラマ初出演となった今回。天才AIエンジニアA・J・オオバの役どころと本人を重ね合わせることができそうな冷静かつ熱く語る言葉が続きました。
難解ながら、誰もがシンパシーを感じられる作品
中島健人さんの海外ドラマ初出演作『コンコルディア/Concordia』は一流の中の一流が手掛けた作品でもあります。世界で最もヒットしたドラマと言って過言ではない「ゲーム・オブ・スローンズ」を代表作に持つ名プロデューサー、フランク・ドルジャーの総指揮のもと作られています。
中島さんはもちろん「ゲーム・オブ・スローンズ」を見て撮影に臨んだそうです。単純なエンタメ作品に終わらせないのはHuluオリジナル「コンコルディア/Concordia」にも共通します。カメラと AI に生活の全てをモニタリングされた「コンコルディア」と呼ばれる町が物語の舞台。理想的な近未来社会のなかで、殺人事件という闇が突如襲いかかり、それを解き明かしていく話が展開されます。正直に言えば難解な作品です。
はじめに台本を読んだ時、中島さんでさえも「ムズくない?」と思ったそう。一方で、「海外でも日本でもハマる要素満点の作品」と言い切る中島さん。その理由に納得できます。
「今の時代はどこにでも監視カメラがありますよね。ドラマではそれがむしろ馴染んでいる社会を描いていて『それって幸せなの?』と、改めて定義しているんです。だから、そういう点で僕はこの作品は今の時代にピッタリのシンパシーを感じることができる作品じゃないかなって思います」。
作品は南仏カンヌで昨年、世界最大規模の映像コンテンツ見本市「MIPCOM」の期間中、中島さんが演じる姿がカンヌの大スクリーンで映し出されたことがあり、「光栄です」と感慨深い様子も。世界的に展開される作品であるからこそ、思うことがあるようです。
「今までアジア人の技術者の役はどちらかというと、メガネをかけて、ちょっとやぼったい感じ。だからA・J・オオバという役を今回、アジアのクールガイとして僕は表現したいと思ったんです。クールでクレーバー。かつアロガント(傲慢)な部分を表現できるよう意識して演じました」
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