たとえば、アナは『シンデレラ』や『白雪姫』のように、恋や結婚に幸せを見出すタイプのヒロイン。ハンス王子とも、出会ってすぐに結婚を決めていました。ただ、従来のプリンセスと異なる点は、このハンス王子が“運命の人”ではなかったところ。なんと、ハンス王子は、国王になるために王女であるアナを利用しようとしていたんです。リアル……だけど、子ども向けのディズニー作品で、そんな現実を突きつけてもいいのか! と思っちゃいました。もしかしてハンス王子、アナが「サンドイッチ」が好きって答えたときに、「僕と同じじゃないか!」と合わせたのも、運命を感じさせるための作戦だった……?
その一方で、エルサは最後まで王子様と結ばれることはありませんでした。アナがハンス王子との結婚を伝えたときも、「会ったばかりの人と、結婚するなんて」と反対するなど、恋愛に対して冷静な視点を持っています。エルサとアナ、性格も恋愛観も人生観も正反対な2人のプリンセスを登場させることで、間接的に“どんな生き方を選んでもいいんだよ”というメッセージが伝わってくる。『アナ雪』ってやっぱりすごい作品だなと思います。
真実の愛は、異性愛とは限らない
『シンデレラ』は、王子様と結婚することで不幸な生活から抜け出すことができたし、『眠れる森の美女』のオーロラ姫は、王子様からのキスで目を覚ます。『リトルマーメイド』のアリエルも、『美女と野獣』のベルも、王子と結ばれてハッピーエンドを迎えました。そのため、『アナ雪』が描く真実の愛も、異性愛だと思っていたのですが……。なんと凍ってしまったアナを救ったのは、ハンス王子やクリストフのキスではなく、エルサのハグだったんです。姉妹愛こそが、真実の愛というラストに、「そう来たか!」と驚かされました。
また、個人的にアナのお相手・クリストフのキャラも好きです。わたしが幼少期に見てきたプリンセスって、“守られる存在”だったような気がするけれど、クリストフは戦うアナの手助けをする感じなんですよね。たとえば、アナがピンチのとき、クリストフは「俺が守ってあげる!」と言うわけではなく、「お待たせ。どうしたらいい?」とアナに尋ねるんです。そして、アナの意見を聞いて、「よし、分かった」と一緒に戦ってあげる。プリンセスの運命のお相手のキャラも含めて、『アナ雪』は時代の先端を行っているなと感じました。
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