人気カウンセラー・根本裕幸さんの連載、テーマは「しんどい母親の手放し方」。毒母育ちライター・M子のカウンセリングから、今回は性格判断などでよくある「男性は論理的、女性は感情的」の話に。男性脳、女性脳などという言われ方もしますが、これはつまりどういうことなのか、心理学の観点から解説してもらいました。
そこからさらに家庭内の「バランス」の話へ。ヒステリックな母親を持つと、娘はどうなる? さらにその娘は??
〜M子の母はこんな人〜 (※前回までのおさらい)・M子に対して、幼少時から一貫して否定的な態度を取る
・M子にだけ思ったことをそのまま言ってくる、内弁慶な面も持つ
・お見合い結婚した父のことが大好き。M子の兄も溺愛している
母が愚痴や弱音は娘にだけ吐き出す、その単純すぎる理由
M子 ここまでのお話で、母親との問題を解決する上で母親の背景、どんな人生を送ってきたかを知ることがいかに大事か、ということがよく分かりました。
根本 出身地や学歴、家族構成といったことは娘の側からも比較的見えやすいんですが、そうでない部分にコンプレックスが隠れている場合もあります。たとえばM子さんのお家のように東京の下町で、世帯同士の距離が近い地域だと、その中でちょっとしたヒエラルキーみたいなものがあったりするんですね。
今でも「◯◯さんちはこの辺りの名家だから」みたいな話ってどこにでもあるでしょう。同じ地域に住んでいる同じような立場のはずなんだけど、その中でも家の“格”みたいなものが出てくることはあって、そこで女性が窮屈な思いをすることがあります。ほかの地域から嫁いできた場合でも、もともと裕福な家のお嬢さんが結婚して一気に貧乏になっちゃったりすると、それが強い抑圧となったりね。
あとはM子さんのお母さんの場合、自分が生まれ育った町でそのまま結婚して家庭を持ったということは、思春期の人間関係が大人になってもそのまま継続している可能性がありますね。中学の同級生と子どものPTAで一緒になるとか。で、その人が自分よりスクールカーストで上位だったりすると、その人と自分を比べてしまったり、大人になっても気を使い続けたり。
M子 うわあ……。想像しただけでゾッとします。
根本 そうやって母親の中に溜まったストレスやコンプレックスを、娘にドン、と吐き出してしまう。なのでお母さんの人生の棚卸しは、思いつく限りすみずみまでやるといいです。
M子 あの、話が逸れちゃうかもしれないんですけど、今おっしゃった「吐き出す」っていう感覚がもう身に覚えがありすぎて。自分は母の「吐き出し口」で、なんというか、ストレスも弱音も汚いものは全部私じゃん、みたいな。
べつに弱音を吐かれること自体はなんとも思わないんです。むしろ聞いてあげたいとも思うけど、だったら普段からもう少しまともな扱いしてくれよっていうフラストレーションがずっとあったんですよね。都合のいい時だけ「M子〜〜」って寄りかかってきて、そんな母を私はちゃんとケアしてるのに、なぜこうもぞんざいに扱えるのか。もはや娘とか関係なく人として、その心理がまったく理解できなかったんですよ。
根本 ええとですね、その理由は、“女子”だから。
M子 えっ。
根本 お母さんが“女子”だからです。
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