共感力が強い代わりに、論理的な思考を嫌う“女子”な母
M子 ……いきなり説明がザックリしてますよね。女子だから、ですか?
根本 うーん、これはジェンダー的に今はもう微妙な表現なので言いにくいんですが、ようは“ウーマンズ・リーズン”ってやつです。最近はもう、こういう言葉は使いませんが。嫌だから嫌、ただそれだけ。「そうしたいからする、何が悪いの」という心理ですね。まあこれも世代の違いではあるんですが。
男と女がはっきり分けられた世界でお母さんは育ってきましたよね。小学校から男女別々の科目があって、男子が剣道とかやってる時間に女子は家庭科で料理やったりお裁縫やったり。これってもう主婦になるための道です。それが良いか悪いかはいったん置いといて、そうやって女子として育てられているので、お母さんはある意味めちゃくちゃ女性的なんです。もともと持っている素養以上に。
M子 あー、それは確かに。
根本 心理学では「男性性」「女性性」という考え方があります。男性性の特徴は理屈とか、論理的な思考。女性性は感情や感覚的な思考なんですけど、お母さんは本来持っている女性性に加えて、さらに女性として育てられることで、女性性が強化されているんです。
M子 連載のはじめに出てきた「母性」の話と同じですね。
根本 そうそう。一方で、男性性的なものは一切求められないから成長せず、結果、女性性だけが育っていく。共感する力が強く自分や他者のケアに長けているので、よく言えば「女子力超高め」なんですが、代わりに男性性的なもの、理屈や、論理的に考えるということを嫌ってしまう。分かんない。というか分かりたくない。
M子 あーーーー……。
根本 女子だから、というと、お母さんの行動がすべて性別に由来するように聞こえるかもしれないけどそうではないです。極端に女性的になるよう育てられているということで、これも時代的背景ではあるんですよね。
M子 あの、さっきの根本さんの「分かんない」の言い方がうちの母親そっくりで……。フラッシュバックじゃないですけど、母と話している時の感覚がぶわっと蘇ってきて息が止まるかと思った(笑)。そうなんですよ、いつも母の気に入らない話題では会話にすらならないんです。たとえば私が「それは違うんじゃない?」「お母さんのそういうところが良くないよ」ってどれだけ冷静に言っても、「分かんない」「知らない!」と逆ギレされて、そこで終了。いい歳した大人が“分かんない”ってなんなの? って思うんですけど。
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