「棘は取れないんですか?」
「これくらいの大きさじゃ取りません。あと、これをしたらすぐ治ります、という方法もありません。できることはインソールを靴に入れてアーチを支える、足裏のストレッチをする、痛み止めを貼る、以上です。治るのにかなり時間がかかります。1、2年ですかね。こちらにはもう来なくて良いです。痛過ぎて耐えられなくなった場合はまた来てください」

こんなに痛いのに? この宣告で終わり? 少し絶望に近い気持ちになった。
1ヵ月ほど指示通り過ごしてもまったく良くならない。むしろ踵を庇って歩くからか、変なところに力がかかり、脚の付け根や膝など痛いところが増えていく。

痛くて藁をも掴む思いで見つけたのが、特許を取得した特殊なテーピング施術を行なっている、足の専門店だった。不調の原因となるような歩き方や足の使い方を根本から直そうというアプローチの施術だ。説明を聞いて考え方に共感し、通ってみることにした。と言っても、足をぐるぐるテーピングされたまま、数日過ごすだけだ。

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これがそのテーピング。

すると私の場合、なんと初日から、足の床を踏む感覚が変わり、歩きやすくなった。痛みそのものは炎症なのですぐには消えないが、踵以外の痛みや不快感がどんどん緩和された。それだけで、数ヵ月ぶりに気持ちが軽くなった。鈍痛がずっと続くことが、人の心に及ぼす負の影響を実感した。

テーピング施術に通う中で、自分がいかに足をちゃんと使えていなかったかを知ることにもなった。私は「浮き指」といって、足の指がちゃんと地面を捕らえずに、浮いた状態で歩き続けていた。これまでの人生で、先の細い靴やサンダル、ヒールを履いた、その時間の蓄積も関係しているようだ。指を浮かせたまま、踵をバンバン打ちつけるようにして歩いていたのだから、そりゃ、痛くなるはずだ。

かわいそうなことをした、私の足よ。50年以上、一緒に歩んできてくれたのに、体のパーツの中でも顔から遠くて意識が届きづらく、「勝手に頑張って」と放置気味だったことを反省した。

そこからテーピングに通いながら、自分でも歩き方を研究し、足の指を意識しながら暮らして半年ほどすると、痛みがなくなった。今はテーピングなしでも普通に歩けるようになった。痛みなく、普通に歩けるってこんなに幸せなことなのかと、ちょっと嬉々として歩いている。

ちなみに、あくまで私の独自研究の結果だが、一本の線の上を歩いているイメージで歩くと、足の指をちゃんと使った歩き方になりやすい感がある。すると、必然的にお尻を大きく振って歩くことになり、おかげで最近、腰やそけい部の張りが前より楽になり、調子が良い。

諦めるのは早い、50代でも打てば響く。SNSを見ていたら、ビヨンセが同じようにお尻を大きく振って歩いていた。これだ。これからは、ビヨンセになったイメージで闊歩していこう。
 

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