こんにちは、編集部の柳田です。

2018年2月22、23日に渋谷のトランクホテルで開催されたビジネスカンファレンス「MASHING UP」。Unleash Yourself (自分自身を解き放とう)のテーマの下、女性が強くしなやかに活躍できる社会を創出することを目指すべく、小島慶子さんはじめ豪華なスピーカー陣による熱いセッションやワークショップが催されました。
今回は、小島慶子さんのトークセッションの模様をご紹介します。


優秀な人ほど「呪い」にとらわれてしまう

左、『解縛: しんどい親から自由になる』などの著書を持つ、タレントでエッセイストの小島慶子さん/右、大正大学社会学者の田中俊之さん、主な著書に『男がつらいよ 絶望の時代の希望の男性学』 など

「男は仕事、女は家事」といった固定概念や、周囲からの「こうであるべき」といった期待。親や社会から受け継いだ価値観を、無意識のうちに自分の内面化してしまうもの。小島慶子さんはそれを「呪い」と称しました。その「呪い」とは全て悪いものなのか。また、どうすればそれから解き放たれるのか。

早くに結婚して、すぐ子供を産んだ親の「自分もこうだったんだから」という「呪い」だったり、「友達100人できるかな」という、企業が儲かるための「呪い」だったり。「みんな家庭の状況が違うんだから、大人になって友達少ないのは当たり前じゃない!」と小島さんは言います。意識していないだけで、私たちの周りにはたくさんの「呪い」があります。

女性でフルタイム、しかも子育ても!、といった女性活躍の文脈で“良き母”が求められる一方、男性にも「一家の大黒柱」であり「イクメン」であるべき、といったことが求められるいまの時代。しかし「優秀な人ほどそれを自助努力で乗り越えようとしてしまう、しかしこれは到底個人で乗り越えられる問題ではありません」と田中さん。つまり、男は弱みを見せないのが美徳、とされたかつての苦しみを今度は女性がたどってしまうことになるわけです。

「呪い」とは「それが自分を自由にしてくれたり、背中を押してくれることもある一方、足を引っ張られたり、追い詰められたりすることもある。あなたにとってそれが縛るものにしかなっていない価値観だとしたら、取り除いてもいいのでは?」と小島さん。

 

呪いを可視化して、言語化するだけで「ラク」になれる

満席の会場。机には「あなたの呪いは何ですか?」と書かれた紙があり、セッションの最後には参加者の「呪い」を互いに共有する時間となりました。

「呪い」は男女ともに存在し、根っこは同じだと小島さんは言います。「働きながら育児をしなければという気持ちは、本当は妻も夫も同じはず。なぜここを互いにシェアできないのか。『男は泣き言言わず黙って働く』という呪い、あるいは男女ともに『家事は女がやるもの』という呪いにかかっているのかも。その思い込みを互いに言語化し、可視化するプロセスを経ることで、実は私たちは同じことで悩んでいると気づけるのでは」。
男女の分断をやめることで、苦しみの根が同じものだとわかるわけです。

最後に、小島さんがご自身の教訓をもとに付け加えたのが、「もしパートナーがかかっている『呪い』を見つけたら、言い方にだけは気を付けてくださいね(笑)」。



さまざまな「呪い」をとく、新たな価値観が他にも。


「MASHING UP」では小島慶子さんの他にも多くの豪華スピーカー陣によるセッションが行われました。それはどれも私たちの「呪い」を解く、もっと言うと「呪い」に気づくきっかけになるものばかりでした。次回はそんなセッションの中から厳選したものをいくつかご紹介いたします!

立教ミモレ大学の講師も務めてくださったBUSINESS INSIDER JAPAN統括編集長の浜田敬子さんもご登壇されていました‼

ミモレにきて数か月。数は多くなくとも、僕なりにさまざまな立場の女性にお話を聞いて、悩みに触れてきたと思います。その僅かながらの経験から思ったのは、時代が大きく変わるなか、現代社会に生きる女性は、多くのものごとに「縛られて」いるということ
小島さんがきちんとそれを言語化したことで、そこから解き放たれる術を、気づくキッカケを作ってくださったのでは、と思います。

そんな小島さんがこの春、ミモレ大学の第二期で講師としてご登壇いただくことになりました! 「40代のモヤモヤってなんだろう。あなたが感じる不安や焦燥感は何ですか?」をテーマに、それを実際に洗い出して可視化するワークショップもあります。詳しくはこちら

後編は「100年時代に知るべき新たな3つの『生き方』」。4月24日公開予定です。お楽しみに!

撮影・文・構成/柳田啓輔(編集部)