シチュー、ハンバーグ、グラタン、コロッケ、オムレツ……。慣れ親しんでいる洋食メニュー。外国生まれの日本育ちの料理。名前は洋食だけど日本の洋食は日本だけのもの。なぜかワクワクするメニューだからこそ、おいしく作りたい!
「もともとはレストランの料理だから、敷居が高い部分もなくはない」とケンタロウさん。でも、家のやり方があって、家のおいしさがあるのも洋食。
家でもおいしく食べ食べたい! と家で作るためにまったく違うやり方で簡単にしたり、少しだけ考え方を変えて簡単なレシピを考案。人気のロングセラー『ケンタロウの洋食 ムズカシイことぬき!』には簡単なものと気合を入れて本格的に作るもの、両方を紹介しています。
この度この本が電子書籍になるということで、その中からとっておきのレシピを公開。ちょっと見ると大変そうだけど作ってみたら案外簡単だったり、やっかいそうな作業も実際にはムズカシイことはなくて、楽しいことも。肩ひじ張らずに作ってみましょう。(3回シリーズ)

デミグラスソース缶を使う、簡単ビーフシチュー

 

家庭で作るなら、ブラウンソースを作る代わりに、デミグラス缶とホールトマト缶を使えば簡単にビーフシチューができます。味のまとめ役は玉ねぎの甘み。ワインは安くてもいいから、料理用でないものを使うのがおすすめです。

 材料(4人分)
・牛肉(ステーキ用)……2枚
・玉ねぎ……1/2個
・デミグラスソース缶……1缶(290g)
・ホールトマト缶……1/2缶(200g)
・赤ワイン……カップ1/4
・サラダ油……大さじ1
・バター……大さじ1
・冷凍フライドポテト……1袋(300g)
・塩……適量
・クレソン……適量

 作り方
1.玉ねぎは縦半分に切ってから横5mmに切る。牛肉は大きめの一口大に切る。ホールトマトは缶にキッチンばさみを突っ込んでザクザク切る。

2.フライパンを熱してサラダ油をひき、牛肉を強火で炒める。しっかり焼き目がついたら玉ねぎを加えて炒める。

3.玉ねぎが透き通って少し色づいたらデミグラスソース、ホールトマト、ワインを加えてあくを取りながら弱火で10分煮る。

4.冷凍フライドポテトはアルミホイルにのせてトースターで焼く。3にバターを加えて混ぜる。味をみながら塩を加えてととのえる。

5.器に盛ってポテト、クレソンを添える。

 

ブラウンソースから本格的に作るビーフシチュー

 

お店の味に近づけたい! そう思ったならブラウンソースから作りましょう。ブラウンソースは、単純に色が濃くなるほど苦味が増して味が濃くなる。薄ければやさしい味に。どのくらいの色がベストかは好みにもよるけれど、まずは写真を参考に作ってみて。

 材料(4人分)
・牛すね肉……600g
・ブラウンマッシュルーム……1パック
・いんげん……1袋
・玉ねぎ……1個
・サラダ油……大さじ3
・バター……大さじ1/2
・水……1.2L

ブラウンソース
・小麦粉……大さじ3 1/2
・バター……大さじ2
・サラダ油……大さじ1/2

・トマトピューレ……大さじ3
・赤ワイン……大さじ2
・砂糖……小さじ1
・塩、こしょう……各適量
・生クリーム……適量

 作り方
1.牛肉は6~7cm角に切る。玉ねぎは薄切りにする。いんげんはへたを切り落とす。マッシュルームは半分に切る。

2.大きい鍋を熱してサラダ油大さじ2をひく。肉を入れて強火で焼き目をつける。全体にしっかり焼き目がついたら玉ねぎを加えてザッと炒め、分量の水を加える。
沸騰するまでは強火、沸騰してからは弱火にして、あくを取りながら2時間ほど煮る。

 

3.ブラウンソースを作る。フライパンにサラダ油とバターを入れて弱火にかける。 バターが溶けたら小麦粉をまんべんなくふり入れてよく混ぜる。

なじんだら中火にして濃い茶褐色になるまでとにかく炒める。
茶褐色になったらすかさず2のスープをお玉5~6杯加えてよく混ぜる。
 

4.牛肉が柔らかくなったらトマトピューレ、赤ワイン、砂糖、3を加えて混ぜ、さらに弱火でとろみがつくまで30分煮る。煮詰まったら味をみながら塩、こしょうを加えて調味する。

5.フライパンを熱して、サラダ油大さじ1をひき、いんげん、マッシュルームを強火で炒める。しんなりして少し焼き目がついたら取り出す。器にシチューを盛って、生クリームを回しかける。いんげん、マッシュルームをのせる。



ケンタロウのおいしいポイント


●肉がくずれそうなほどやわらかくなっていたら、4の時点で肉だけ取り出しておいて、食べる前に鍋に戻して温める。

●一晩おくと、味がぐっとなじんで最高。その場合も、くずれないように肉は取り出しておくこと。


ケンタロウ
1972年東京都生まれ。料理家。武蔵野美術大学中退。テレビ、ラジオ、雑誌、商品企画など多方面にわたって活躍。料理のモットーは「簡単でおいしく、かつ洒落っ気があって現実的なもの」。見た目も実際作っても、簡単でおいしい! と世代、性別問わず幅広く信頼を得ている。著書には『ケンタロウの和食 ムズカシイことぬき!』、『ケンタロウのいえ中華 ムズカシイことぬき!』、『ケンタロウ「魚」 ムズカシイことぬき!』、『ケンタロウ1003レシピ』(いずれも講談社)など多数。

 

『ケンタロウの洋食 ムズカシイことぬき!』
著者 ケンタロウ

シリーズ累計30万部を超える大ヒット『ムズカシイことぬき!』シリーズの第四弾。料理のジャンルの中でも実は難関なのが洋食。手間がかかったり、時間がかかる料理が多いため、意外に料理の腕を要求されることが多い。けれども、ハンバーグ、オムレツ、グラタン、コロッケなど子どものころから好きな料理が多いのも洋食。だからこそ、家でおいしく作りたい! と思っている人も多いのです。
ケンタロウさんならではのムズカシイことぬき! でおいしい洋食づくりを紹介します。
ケンタロウさんのハンバーグ、クリームシチューなど洋食にまつわるエッセイや作り方のポイントアドバイスつき。

『ケンタロウの洋食 ムズカシイことぬき!』のほか、お料理レシピやダイエット・美容情報など講談社くらしの本からの記事はこちらからも読むことができます。
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(この記事は2018年4月20日時点の情報です)
構成/相場美香(講談社) 写真/木村拓(東京料理写真)


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