インドの各地で見る布の身につけ方の様々は、各地で使い方、巻き方も違い多様です。男性、女性、大人子供を問わず、天然繊維に恵まれた国土ゆえ、布をまとう文化が非常に発達しています。私は布に関して特別な知識があるわけではないのですが、このだれもが身近に使うしなやかな存在が好きで、布のこと、または布にまつわる世界のことにとても惹かれるのです。

 

先だって西ベンガル州の町や村を歩いたのですが、人々の日常の布づかいを目の当たりにしました。おなじみのサリーから見て頂きましょうか。これまた本当に色々な着方があり、地方によっても着付が違うので、どれが正しいというのもないようでして。でも、日本の着物と全く同じく、着付けがちょっとおかしいとバシッと決まらないそう。さすが、このご婦人たちは熟練の技ですね。
このように頭を覆うことができるのも、サリーの美しさだと思います。全身に同じ模様や色の布をまとうのは、なかなかに大胆。でも長いドレスを着ているのと同じシルエットなので、きちんとした印象です。そこもまた日本の着物に共通していますね。着物だと、帯との合わせ方に技が出ますが、現代のサリーにおいて、そこはブラウスとのコンビネーションに置き換えられるでしょうか。

 

元来サリーは中には何も着ない状態でまとうものでしたが今は大抵ブラウスと合わせられます。たまに見かける寡婦の身につけている白いサリー、彼女たちはブラウスを着ない昔ながらのスタイルで着ていることがあります(世代のせいかもしれません)。私はこの地肌に布を巻きつける原来のスタイル、とても美しいと思います。褐色の肌に白い布が冴えるのです。ブラウスは半そでの場合が大半で、西ベンガルのコルカタでは丈の短い、お腹が見えるスタイルのものを着ている人がほとんででしたが、以前に訪れた南インドのチェンナイなどでは、若い世代の間でお腹がすっかり隠れる長さのブラウスを着ている人が多く見られました。袖の長さも、コルカタではノースリーブも結構見かけました。これもわたしが好きなスタイリング。それとは反対に、長袖もたまに見かけます。肌を見せる、見せないの感覚も国や地域で様々ですね。足を見せる事は良しとしないのに、お腹は露わに出来るのですから。 

 

さて、ここからは男性の装いについて。暑い地域のインドでは、腰巻スタイルをよく目にします。これもまた、巻き方がこなれていて格好良く、独特の色気を漂わせる粧おいだったりします。やはり、身体の美しさありきなのですが、大胆な大きなチェック柄の布も難なくこなしています。ここで紹介している例は全く日常的で、どこまでも普通の人々の着こなしですが、丸ごと真似しないまでも、私たちの日常に部分的に取り入れられそうなスタイルです。腰巻は巻きスカートのヒントになりそう。柄の違う布で二重巻きにしているおじさんなどをみかけるとおしゃれ上級者でしかなくて、どこまでも一枚の布の可能性を感じてしまうのです。

 

もう一つ、頭に布を巻くパターン。私は、帽子の代りにターバン風に布を頭に巻くことが多いのです。ヘアダイが中途半端になっているときの対策でもあったりして。そういう場合にうんと参考になるのが彼らの布づかいです。例えばエルメスのオーセンティックな柄のスカーフなどで同じ巻き方を試してみたら格好いいでしょうね。 


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