「(絵本『新装版 ぺこぺこ』は)言葉のリズムに乗って物語が展開していく。その両方がうまく行き交っている絵なんですね。しゃべり言葉のリズムを利用して、絵がお話を始めるという感じですね』
と語るのは、日本を代表する銅版画家であり、講談社出版文化賞ブックデザイン賞や京都美術文化賞など、数多く受賞されている山本容子さんです。
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佐野洋子さんの絵本『100万回生きたねこ』は、佐野さんが他界してから14年たっても色あせることなく、大人から子どもまで世界中の人々に愛され続けています。
そんな佐野さんの絵本『ぺこぺこ』が30年ぶりに新装版として刊行されました。
だれにでもなんにでもぺこぺことていねいにお辞儀をし、まわりをふんわりと穏やかにしてしまう不思議な王さま。銅版画にも意欲的だった佐野さんは、絵本『ぺこぺこ』を美しく楽しい銅版画として描きました。
生前の佐野さんって、どんな方だったのでしょう? 絵本『ぺこぺこ』の魅力はいったいどこに?
そんな秘密を知りたくて、生前の佐野さんと交流があり、銅版画制作を教えられた銅版画家の山本容子さんにお話を伺いました。
前編はこちら
銅版画家・山本容子が語る「佐野洋子」とは?『100万回生きたねこ』の著者:佐野洋子の名作絵本『ぺこぺこ』が待望の復刊!>>
言葉のリズムに乗って物語が展開していく
――30年ぶりに新装版として刊行された、佐野洋子さんの絵本『新装版 ぺこぺこ』は銅版画です。銅版画の特徴は、どんなところにありますか。
山本さん:絵のまわりに縁(ふち)のような線が見えますね。これは「プレートマーク」といって、銅版画の証しのようなもの。銅版画は厚さ1ミリメートルの銅板をプレスして絵を刷りますから、この縁があることで、「銅のプレートに描いた絵ですよ」とわかるんです。この新装版は、30年前の本ではカットされていたプレートマークまで印刷されているのね。佐野さんもきっと喜んでいると思いますよ。
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