「職場で加害者にならないためのスキル」として必要性を感じたアンガーマネジメント。やがて、自分の怒りが家族の幸せをも崩壊させる可能性に恐怖した、あるひとりのアラフォー女性が、実際にアンガーマネジメント講座の受講に踏み込むまでをレポートします。自分の怒りのタイプがわかるQ&Aはこちら

 

同じ出来事があっても怒る人もいれば怒らない人もいる


編集部 怒りのメカニズムがわかったところで、今回はいよいよ怒りのマネージメントについてですね!

Nさん(以下N) 講師は「10時に待ち合わせをして、何分まで遅刻を許せますか?」と聞いてきました。私は「15分まで」と言い、同席の女性は「30分まで」。
このように待ち合わせ一つでも、怒りが爆発する許容範囲は異なるんです。
同じことがあっても、誰もがその出来事で怒るわけではありません。

編集部 怒りっぽい人は、そうでない人よりも、反応する出来事が多いということですね。

衝動的な怒りを“とりあえず”抑える対症療法


N 大切なことは”反射”を防ぐことなんです。

編集部 反射=衝動のまま怒ってしまうことですね。

N はい。怒りを感じる出来事があったとき、まずは「6秒数える」ところから実践します。でも、実はその「6秒ルール」はなかなかむずかしいんです。

編集部 わかります。それってダイエット法の「食べたい!」と思ってから10分待つ……という衝動を一旦抑える構造と似ている気がします。

N 例えば、子どもに「あー、はいはい宿題やればいいんでしょ、やれば」というような言い方をされたとき、カチンときて、「何よ! その言い方は!」という風になるのが、私の日常です。

そこを、とっさに言い返さないで、1秒でもこらえる。その瞬間に、頭の中で「私は今怒った。じゃあ、その怒りは何点か?」と自分で怒りに点数を付ける(レベル付けする)方法を習慣化することが効果的だそうです。

怒りとは生命が脅かされる極限状況で必要な感情


N 怒りとは、元々動物に備わっている喜怒哀楽の感情で、生きていくのに必要な感情だから備わっているんです。

編集部 命を守るために必要なんですね。

N 強い動物に襲われそうになった時、動物は歯をむき出して、威嚇のポーズを取る、これは、自分は「食われないぞ」という意志を表すため。生きるために食べるものを奪い合って威嚇しあう時も、動物は怒りをあらわにします。生き物にとって怒りの感情は、「生きるか死ぬか」の瀬戸際に必要な感情です。

編集部 極限状況以外には必要のない感情なんですね。