最近、「離婚」に対する私たちの価値観は大きく変わりつつあります。「離活」という単語まで生まれるほど、昔に比べて離婚はタブー視されなくなり、個人の意思が尊重される時代。

しかしながら、少しでも離婚を考えたことがある人や、現在離婚に向けて動き始めている人なら、きっと誰しもが抱いている疑問。それは「離婚したら本当に幸せになれるのか」ということだと思います。

実際に離婚を経験した人は、どのような経緯で決断に踏み切り、困難を乗り越えたのでしょうか? そして離婚後の人生はどうなったのか、その実態や本音を聞いてきました。

 
名前:沙也加さん(仮名)
年齢:42歳
職業:外資系IT企業勤務
現在のステータス:バツイチ、子供と二人暮らし

「まさに理想の夫婦」だったはずの二人


今回お話を聞いたのは、2年前に離婚を経験した沙也加さん(42)。現在は10歳の男の子と二人暮らしのシングルマザーです。

外資系企業に勤め、部署のマネージャーとして働くキャリアウーマン。そんな彼女が結婚したのは26歳の時だったそう。

元夫とは、大学時代の同級生。大学時代から、彼は沙也加さんのことをずっと好きだったとか。何度も告白されたのを断り続けてきましたが、それでもくじけずアプローチを続ける彼に押される形で、卒業後に付き合い始めました。そして4年の交際を経て結婚したそうです。

「元夫はとても真面目なタイプ。性格も穏やかで優しいので、周囲の友人からは“本当にいい旦那さんだよね”といつも言われていました。愛情表現も豊かで、私はとにかく溺愛されていたし、彼の愛情を疑ったことは一度もありませんでした」

当時、同級生たちからよく言われていたのが「まさに理想の夫婦」という言葉だったといいます。そんな二人に転機が訪れたのが、27歳の時。沙也加さんが外資系の大手企業に転職することになったのです。

「私が外資に転職したことで、年収が大きくアップしました。立場的にもチームリーダーになったことで、仕事も忙しくなり、私の方が朝早く出勤して帰りも遅く帰るようになりました」

転職により、沙也加さんの年収は日系企業勤務の夫よりも高くなりました。30歳になる頃には、夫婦の年収の差は1.5倍くらいになったそうです。そしてその後、沙也加さんは妊娠し、男の子が生まれました。

「彼は息子をかわいがるだけでなく、家事や育児も分担してくれました。実は私、料理や掃除がそこまで得意ではないんです。その分彼がカバーしてくれたので、夫婦としてのバランスも取れていると思っていました。まさに理想の夫で、理想の父親。完璧な男性だと思っていたんですが……」

可愛い子供にも恵まれ、全てが順調。まるで絵に描いたように幸せな結婚生活は数年続きました。ところが事件は37歳の時、突然起こったのです。