ライターさかいもゆるがアラフォー以上で結婚したカップルへのインタビューを通じて、結婚とは、夫婦とは何かを考える連載です。46歳で結婚を決意した決め手は「彼が包容力がなかったから」と語る直美さん。経済的に自立している彼女が夫に求めるものとは……。

直美さん(仮名)、51歳。28歳のときの失恋がきっかけで恋に奔放な肉食恋愛体質に変貌。二度と傷つきたくないから真剣な恋も結婚もしないと思っていたのが、46歳のとき、同い年の英二さん(仮名)と19年ぶりに再会し、彼に押し切られた形で、当時の恋人と別れて英二さんと結婚。

アラフィフまではバリバリ稼ぐ男性が好きだったけれど、実際結婚したのは自分より収入は少ないけれど癒しをくれるイケメンだった。
こういう夫婦って意外と多いんじゃないでしょうか。

自分が経済的に自立すると、結婚相手の収入は案外気にならなくなるもの。年齢的にも、子供を持つことを考えないとなれば、尚のこと。今回取材した直美さんは「夫には毎月決まった額の〝年貢〟さえ納めてもらえればそれでいい」と言います。いいものを食べたいときやいいホテルに行きたいときは、直美さんが払うというスタイル。

 

大手企業の幹部である直美さんと、ミュージシャンとして活動しながら音楽スクールの講師を務める英二さん。年収でいえば一般的な夫婦と立場が逆転しているけれど、旦那さんは収入格差に対して特にコンプレックスを感じることもなく、「直美さんが鳥で、僕はそれに乗っているだけ。直美さんが行きたいところに着いて行く、僕はそれが好き」とおっしゃっているそう。お互いが納得した上でなら、夫婦のどちらが稼ごうと、何も問題ないですよね。ふたりが稼いだ金額が、世帯収入になるんですもの。

妻の方が稼ぐ夫婦となると、家事分担はどうなっているのかが気になります。

直美さん:家事は、向こうの気が向いたらやってくれますが、やらなくても別に気になりません。私が結婚に求めるのは、「私の邪魔をしないこと」という一点のみ。彼と結婚してみて、こんなに私をイラっとさせない人って他に居ないなと思っています。私が一人暮らししていた1Kのマンションに彼が引っ越してきてそこで暮らしているのですが、同じ空間にずっと居ても嫌じゃないですし。

これには、英二さんが元アイドルでルックスがいいというのも関係していそう。

直美さん:そうですね、これまでずっと、顔っていちばんどうでもいい条件だと思ってたんです。だけど好みの外見の夫と結婚してみて、「あ、こういうことか」ってわかった気がします。朝起きていちばん最初に見る顔が自分の好みの顔だと、気分が全然違うんですよ。

おおお〜〜〜〜。朝の気分がいいなんて、それはかなり大きいですね!

 

稼ぎが少なくて家事もやってくれない。条件で選ぶ婚活ならば「そんな結婚にメリットはあるの?」と思ってしまうかもしれません。だけど直美さんは英二さんと結婚して、「居てくれると癒しがあって楽しい」と感じているそう。これって、晩婚ならではの結婚の決め手なのでは。

結局、結婚生活って毎日続く日常。自らも仕事で忙しいアラフィフ女性ならば、精神的に自立していて、経済的には自分の食いぶちさえ稼いで自分の負担にならなければ、家で過ごす時間に安らぎを与えてくれる相手がいちばん。それは直美さんと同年代である私にもすごく共感できる価値観。

直美さん:私が結婚してよかったなあって感じることって、結婚した男性が感じるようなことなのかも。守るものができたから、仕事をがんばれる。彼とは同い年ですが肉体的に弱い私の方がおそらく先に死ぬと思うんですよね。だから、私が先に死んでも困らないようにしてあげなきゃ、って思って、さらに仕事を充実させるようになりました。

う〜〜〜ん、かっこいい! 仕事で突き抜けていれば、こんな風に考えられるようになるんですね〜。これはアラサーくらいの婚活女性にはできない発想ではないでしょうか。アラフォー以上になると、ついつい若くないことに引け目を感じがちですが、この包容力って若い子には真似できないもの。

考えてみたら、アラフォー、アラフィフの男性だって、包容力がある人が輝いて見えますよね。男女ともに、アラフォー以上でモテるかどうかの鍵は、精神的・経済的どちらも含めた包容力なのだなと、改めて思いました。

さて、長くなったので直美さんがアラフィフで結婚できた理由の自己分析は次回に続きます。

イラスト/いとうひでみ
構成/川端里恵(編集部)

 

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