女性だろうと非正規雇用だろうと権利を主張するのは当然

 

──職場の構造的な問題だと気付かないまま過酷な労働条件を受け入れた結果、個人レベルで潰し合いや足の引っ張り合いをしてしまっているのですね。

労働者の権利を主張した人を厄介者のように扱い、嫌味を言ったりする職場が多いのはとても残念なことです。何度も言うようですが、コロナ感染を避けたいときや心身が辛いと感じたときは休みを取れるのが普通ですし、それを主張するのは女性だろうと非正規雇用だろうと当然の権利なのです。もし、職場に直接訴えることが難しい場合は、労働問題を扱うNPO法人(※)や個人で入れる労働組合などの外部機関がありますので、遠慮なく相談してほしいと思います。そうやって個人個人が声を上げることで職場が変わり、社会の風潮が変われば、いじめをなくすことに繋がっていくのではないでしょうか。

※……坂倉さんが理事を務めるNPO法人「POSSE(ポッセ)」でも職場いじめの相談を受け付けています。

 

『大人のいじめ』
著者:坂倉昇平 講談社 990円(税込)

膨大な数の「いじめ・嫌がらせ」相談を受けてきた著者が、さまざな職場で実際に起こった「いじめ」を紹介しながら、その背景を分析。さらに、いじめの被害者になった場合の対処法も具体的に提示しています。職場や上司・同僚の対応に違和感を覚えている人には、本書がいじめを自覚するきっかけになるかもしれません。



取材・文/さくま健太

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