「女」には、期限がある。そう感じたことはありますか? 昭和の時代から、女性については「女の賞味期限」とか、「女を捨てている」などの表現をされてきました。聞くたびに、男に対しては使われないのに⋯⋯ と心に引っかかる表現です。

『女はいつまで女ですか? 莉子の結論』は、結婚して妻になり、母となったけれど、夫から、女としても個人としても尊重されずに「自分が空っぽな器のように思える」と悩む39歳の主婦が主人公です。

「女の子なんだからキレイにしなさい」が口癖の母親に育てられた主人公・莉子。思春期になり恋をしてから「キレイになりたい」と願うようになったけれど、振り返って思うのは、

女でいることに踊らされていたのかもしれない

ということ。

 

女として試されている時期を経て、一人の男性に選ばれた時、あの母親の言葉が役立った、と思えた主人公。

 

けれど、その後はどうなるの?
これは、一人の男性に選ばれ、家族をもった後の女性の物語です。

 

莉子・39歳の誕生日。起きてから夫からの「誕生日おめでとう」の言葉を待つけれど、何も言われずいつも通りの忙しい朝を過ごします。

夫が家を出る直前に「そういえばさー」と呼びかけ、やっと言ってくれるのかな? と期待すると、
誕生日のことではなく、「俺 今度課長になるんだ」と照れながら昇進を報告されました。

 

夫の昇進を喜びながらも、「自分には何が残るんだろうか」と我が身を振り返ってしまう莉子でした。

夫にとって、私は"女"なのだろうか?

誕生日を忘れられていたのをきっかけに、莉子は「自分が女として見てもらえているのか」と、気になってしかたなくなります。

 

高校時代からの友人(独身)と会い、夫に自分の誕生日を忘れられていたと報告すると、「旦那に大事にされたいとかそういうのないわけ?」と痛いところを突かれてしまいます。

だいぶ前からもう女として見られてないから、と莉子が弁解すると、またも図星なことを言われます。

 

女として見せようとしなくなったからでもあるんじゃない?

油断してると旦那さん誰かに取られちゃうかもよ? と煽られ、莉子は、夫が送ってくれたゴルフ接待の写真で、彼の隣に女性社員がいたことを思い出していました。


莉子の母親の命日、「女の子なんだからキレイにしなさい」と、莉子が幼い頃から言い続けた母親とはどんな女性だったのかが語られます。

 

もうすぐ母が亡くなった年齢になる莉子。

お母さんはずるい
遺影の中で ずっと若くて美しいまま

私はこれから 女として どう生きていけばいいんだろう

「女として枯れていくのはいやだ」莉子は、夫に"女"として見てもらうために美容に力を入れはじめ、バレンタインには手作りのケーキを作ります。ところが、夫には効果がないどころか、不機嫌にさせる結果に。

努力が空回りし、悶々とする莉子の転機となったのは、母親の命日に花を買った花屋さんでした。

オーナーは、圭太と同じ幼稚園に通う健くんのママ。子どもがいてもキレイにして、やりたいことも実現している。専業主婦の莉子にはまぶしい存在でした。

そんな彼女とお茶をしていると、思わず感情と涙があふれ出す莉子。

彼女に声をかけられ、パートをはじめることにします。花屋には、オーナーのほか、バイトの男の子・ハルトくんがいました。

 

パートをはじめてから、莉子は、自分の"女"を探す迷路にますます迷い込んでいきます。

年下のハルトくんに仕事を教わりながら、こっそり彼にときめく日々。バイト中に優しく言葉をかけてくれる彼が、"女"である自分を見つけて、暗闇から連れ出してくれる夢まで見るように。

以前は夫を振り向かせるために「女」を取り戻そうと思っていたのに、夫の「夕飯はいらない」という言葉にホッとした自分に気づいた莉子。
彼女はこれからどうなってゆくのでしょうか⋯⋯?


莉子は、母親から「女の子なんだから女らしくキレイにしていないと誰にも選ばれないのよ」という、「女らしさ」の呪いをかけられていました。
この「女」とは、何歳になっても男性に「綺麗」とちやほやされてモテる女性のこと。
母親自身もそんな女であることを最優先に生きてきたのです。

そして、莉子を蔑ろにしていた夫も「男らしく強くいなければならない」という呪いにかかっていたことがわかります。

本作は、タイトルで「莉子の結論」とあるように、彼女は「自分らしく生きる」と決め、一つの回答を出します。このラストシーンを読んだ瞬間、みなさんはどんな感想を抱くでしょうか?

 


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『女はいつまで女ですか? 莉子の結論』
上野 りゅうじん (著)
KADOKAWA

「わたしたちはいつまで女でいられるの?」夫に誕生日を忘れられたことをきっかけに、不満はあるけれど平凡でフツーな主婦・莉子が自分の中の"女"を探し、迷路に迷い込む物語!



作者プロフィール

上野 りゅうじん
2017年に『うちのへそ曲がり!!』でデビュー。ママスタセレクト漫画・記事挿絵など不定期連載中。『オカンDAYS』 (講談社)、『ママのうつ病をなめてたら死にそうになりました』(ぶんか社)が発売中。近刊に漫画で参加した『マンガでわかるポイント投資 100ポイントあったら「株」を買いなさい!』(安恒理 著、講談社)などがある。
Twitterアカウント:@U_ryu_jin
Instagramアカウント:@ueno_ryu_jin

 

構成/大槻由実子
編集/佐野倫子