映画『スタッツ: 人生を好転させるツール』Netflixにて配信中 ©︎Netflix

この作品の興味深いところは、初めはスタッツの患者だったはずのジョナによってスタッツが自分の心の傷をみつめ直し始め、それによって精神科医であるスタッツの考え方や人生までが好転し始めること。そして私たち視聴者はその感動的なセッションの様子を追体験することで、自分自身も深いところでスタッツのメソッドを理解し癒され、そのエッセンスを感じ取れるのです。

 

現在75歳のスタッツですが、実は50代半ばでパーキンソン病を患い、撮影中も手の震えが止まらないなど、病状は進行中。けれど彼に難病患者としての悲壮感は微塵もなく、むしろやりたいことへの情熱と使命感に溢れ、彼自身がこの世界的ベストセラーとなったメソッド『The Tools』を実践してメンタルをコントロールしているのがわかります。

80年代に心理療法の限界にフラストレーションを感じ、現存の心理療法では人々の心の問題の原因にはたどり着けても、悩んでいる彼らがどう人生を歩んでいけばいいかの手助けにはならないと気づいたスタッツ。患者たちがもっと自発的に自分軸で生きて行けるように開発したのがこの「The Tools」だといいます。ジョナ以外にも、グウィネス・パルトロウをはじめとする多くのハリウッドセレブたちが、このメソッドを信奉しているのだとか。

映画『スタッツ: 人生を好転させるツール』Netflixにて配信中 ©︎Netflix

「問題のある関係から抜け出したり、自分に厳しくなりすぎたり不安になったりするのをやめるために、外的なアクションをする必要があると感じたんだ。でも、馬を水場に連れて行きたいと思っても、水を飲ませる方法がなかった」と、スタッツ。その水を飲ませる方法、つまり自力でメンタルヘルスを改善するための方法は、ぜひ映画でチェックしてみてくださいね!

「幸せになるためにはまず、人生や恋愛には答えなどないと受け入れること、完璧な人生やパートナーシップなどないと受け入れること」。

職業柄、分析癖があり、悩みがあるとそのことで頭がいっぱいになりがちだった私には、目から鱗のDr.スタッツのアドバイス。悩んでいるすべての人へ贈りたい、ドキュメンタリー作品です。

 


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