美智子さまは「祈りでありたい」
エリザベス女王は「自分たちの姿を見てもらうこと」


じゃあその正体とは何なのか? 上皇后美智子さまは、「自分たちは国民の祈りでありたい」というふうに語っていますが、エリザベス女王は自分たちの姿を国民に見せることの大切さを訴えました。

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そのきっかけとなったのが、ダイアナ妃死去。エリザベス女王がなかなか弔意を述べなかったことで、国民の激しい批判にさらされ、ダイアナ妃はなぜそこまで愛されたのかを見つめ直したということなのでしょうか。自分たちの役割を改めて口にするようになったと言われます。

2022年6月5日。エリザベス女王の在位70周年「プラチナ・ジュビリー」より。写真:AP/アフロ

それも「信じてもらうためには見てもらわなければならない」と。だからより鮮やかな色の服を着るようになったのだとも言われるし、月からでも見えるかもしれないほどに、多くの人に見られる存在にならなければいけないと語ったというのです。
いずれにせよ、国民との乖離を感じ始めた時から、すすんで自分たちの姿を見せるべく心がけるようになり、だから、映画の中で007のジェームスボンドと共に歩く姿や、くまのパディントンとお茶を飲む姿を、世界中の人が見ることができたのかもしれません。

確かに多くの国において人々は、ロイヤルファミリーの姿を見ることによって自分に何か利益がもたらされるわけでもないのに、沿道に行って旗を振りつつ、歓喜します。あるいはまた、日々ネットニュースで上がってくるロイヤルファッションをいつの間にか眺めています。
その心情は、簡単には説明がつかないけれども、やはり一つの幸福感なのではないでしょうか。理屈を超えて心が華やぐ、他の事では置き換えのきかない喜びなのではないでしょうか。