「週5日フルタイム+副業」では、ワークライフバランスが崩壊する


次に、「副業・兼業の促進」に違和感を覚える点をふたつ紹介したいと思います。

一つ目は、副業を推進するならそもそも週5日フルタイム就業自体を見直すべきではないかということ。週5日、朝から晩までの働き方は変わらないのに、副業だけ解禁されてもオーバーワークになるのは必至。ワークライフバランス? 何それおいしいの? みたいな生活になってしまうわけです。

本業とは別の会社に雇用されて働く副業の場合、通算した実労働時間の管理も実施できるようですが、雇用を伴わない副業の場合は特に、「働きすぎ」を自覚していても無理を重ねてしまう人も多いのではないでしょうか。

正社員などにも週3、4日勤務という働き方の選択肢が必要だと思うのです。

 

英ケンブリッジ大や米ボストン大などの研究チームが、企業が週休3日制を導入した場合でも収益は維持されるとの調査結果を公表したそうです。
※共同通信社「英、週休3日でも企業収益維持 社員負担も軽減、大学調査」より

副業するしないにかかわらず、フルタイムは体力的にきつい、子育てなどと両立が難しいといった声も聞かれます。普通に考えて、5連勤ってしんどくない? と思います。正社員でもガッチガチのフルタイム就業以外の選択肢ができたら、きっと働きやすくなる人も増えるのではないでしょうか。

 

見誤ってはいけない「本業だけでは生活が苦しい」という現実


そして二つ目。副業をする理由に、本業だけでは生活が苦しい、という理由もあります。
副業の推進と聞くと、働き方の多様化やスキルアップといったプラスの面が浮かびますが、非正規社員はもちろん、正社員でもフルタイムで働いても生活がギリギリ、苦しいという賃金の水準の会社が少なくないのは事実です。

副業で収入を補うという自助努力で、その問題がうやむやにされるべきではありません。
副業はあくまで本業で生計は成り立つ人が、プラスαで目的のためにやるのが健全だと思います。このところの物価高、電気代やガス代の高騰で生活が圧迫され、本業の給料だけでは暮らしていけないという人もじわじわ増えていると思います。そういう人たちが副業をしなくても生活できるように、対策が講じられるべきだと思います。