「経血の量は少ないのですが、とにかく生理が長くて終わらないんです。茶色の血が少量つく程度ではあるのですが、普通の下着では過ごせないので吸水ショーツやライナーが手放せません。こんなに長い生理はこれまで経験したことがないのですが、大丈夫でしょうか?」

「50歳を目前に控え、生理がない月も増えてきました。もう閉経なのかな……と思っていたところ、急に多めの経血が出てびっくり。何かの病気でないか心配です」

女性ホルモンの分泌量が不安定になる閉経前のゆらぎ期には、月経が乱れて周期が長くなったり、また極端に短くなったり、量も不安定になるなどの現象が起こります。これらの出血は閉経に近づいているサインなのか、はたまた別の婦人科系の病気の可能性があるのか、とても不安になりますよね。

今回は、閉経前後の時期の不安な出血についてどのように判断したらよいのかを、婦人科医の吉形玲美先生にお聞きしました。

 

閉経前の人は”イレギュラーな出血”に注意!


そもそも自分が閉経を迎えたかどうかは、閉経になった時点でわかるものではありません。月経が止まってから1年間来なかった時点で初めて「1年前が閉経でした」と判断されます。

そのため閉経前後で女性ホルモンの分泌量が揺らぎ始め、生理周期が乱れている間は、性器からの出血の原因が、月経なのか他の病気なのか判断が難しいのです。周期の乱れや、経血量などにも個人差があります。どういった出血の場合、注意したほうがいいのでしょうか?

「まず、その出血が自分にとってのルーティーンであるかどうかがひとつの判断基準になります。月経が順調な人の場合、基礎体温をつけていればその出血が月経なのか、不正出血なのかがわかりやすいです。月経以外にも、月経と月経の間に起こる『排卵出血』や、月経の前後にある『おしるし』のような出血がある方もいらっしゃいます。いずれにしても、パターン化している出血ならばあまり心配はいりません」

 

反対に、このような場合の出血には注意が必要です。

・イレギュラーなタイミング
・ダラダラ長く続く
・明らかに量が多い

これらのケースは違う病気の可能性も考えられます。

「血の色や形状、また出血量など、月経状況には個人差がありますので、診察をしないと何が原因で出血しているのか、はっきりしたことはわかりません。

まだ月経が順調な世代の方でも、ホルモンバランスが乱れて一過性のダラダラ出血を起こす場合があります。また、子宮の入口にポリープができていて、それがつぶれての出血という可能性もありますし、悪性の病気であれば、子宮頸がん、子宮たいがん(子宮内膜がん)の可能性もあります。ご自身で『いつもと違う』と感じる出血があれば、婦人科受診をお勧めします。

診察の結果、閉経前の女性ホルモンの低下やゆらぎ期であることが判明すれば、HRT(女性ホルモン補充療法)などのホルモン治療を行い、月経周期を整えることで、いつ月経がくるかわからないストレスからも解放されます」

 
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