閉経後は出血があれば早めの受診を!


閉経後に性器から血が出たら、それは明らかに不正出血です。
閉経後の不正出血の原因はどういったものが考えられるのでしょうか?

「閉経後は、腟内の潤いが奪われ腟粘膜が薄くなる『萎縮性腟炎』に代表される『GSM(閉経後泌尿生殖器症候群)』の状態に陥りやすく、下着が擦れたり、自転車に乗るなどのちょっとした刺激でも出血することがあります。また、子宮などの内臓を支えている骨盤底筋の衰えにより、子宮や膀胱を支えきれず、腟から体外へと出てきてしまう『骨盤臓器脱』が原因で血が出ることもあります。これらの症状は高齢になるほど起こりやすくなるのですが、突然の不正出血に驚いて外来に駆け込んでくる70代、80代の方も珍しくありません。

ほかに病気で考えられるのは、たとえば子宮体がんです。子宮体がんによる出血の場合、生理痛のような痛みを感じる方が多いです。また少数ですが、卵管がんでも出血の可能性があります」

 

特に閉経後の出血は何かしらのトラブルを抱えている可能性が高いので、早めの受診を心がけましょう。

「不正出血は症状に個人差が大きく、また原因もさまざまです。『なんだろう?』と思ったらすぐに診察をすることが大切です。

 

また、自分がすでに閉経前のゆらぎの時期に入っているのか、自分の身体の状況をきちんと知るということも大切です。30代後半〜40代に差し掛かってきたら、婦人科検診の際に卵巣機能も検査するなど項目を追加して検査しておくと、いざ月経周期が乱れ始めたときの心の準備もできると思います」

『40代から始めよう!閉経マネジメント』
吉形 玲美 (著)

「閉経マネジメント」とは、変化の大きい閉経前後の身体の変化に備え「自分の体を積極的にマネジメントする方法」のこと。その柱は、①女性ホルモンのコントロールと、②女性ホルモンの減少によって影響を受ける「骨の強さのマネジメント」の2つ。
40代以降の女性のライフステージを「プレ更年期」「更年期」「ポスト更年期」の3つに分け、それぞれのライフステージで何をすればいいかをわかりやすく解説しています。もっと知りたい人のためのQ&Aや、患者さんの体験記もたっぷり盛り込んだ、いつまでも健康な女性でいるための方法がギュッとつまった1冊です。

 

吉形 玲美 (よしかた れみ)
医学博士/日本産科婦人科学会 産婦人科専門医
産婦人科臨床医として医療の最前線に立ち、婦人科腫瘍手術等を手掛ける傍ら、女性医療・更年期医療のさまざまな臨床研究にも数多く携わる。女性予防医療を広めたいという思いから、2010年より浜松町ハマサイトクリニックに院長として着任。現在は同院産婦人科専門医として診療のほか、多施設で予防医療研究に従事。月経不順、妊活、更年期など、ゆらぎやすい女性の身体のホルモンマネージメントを得意とする。’22年7月『40代から始めよう!閉経マネジメント』(講談社)を上梓。


取材・文/熊本美加
構成/宮島麻衣
写真/shutterstock

 

 

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