可愛いあの子はいつも何を使っているのだろう。そんな可愛い子の“カワイイ”を作るアイテムへの探求心は、雑誌で「可愛いあの子のカバン、ポーチの中身」なんて特集が組まれるほどに根強いものを感じます。今回ご紹介する『今日、駅で見た可愛い女の子。』もまさに可愛いあの子から掻き立てられる探究心がキーとなっていますが、それを考察しているのはなんと……?

可愛いあの子の“カワイイ”を作るアイテムは?


主人公は経済誌の編集者・亀山正太郎(37)。カワイイとは無縁のストレス社会を生きるアラフォーサラリーマンですが、そんな彼は最近駅でよく遭遇する女子高生が気になって仕方がありません。

 

いや、女子高生が気になっているのではなく、正確には彼女をカワイイたらしめるもの……つまり“カワイイを形作るアイテム”がどうしても気になってついつい考察してしまうのです。

 

まるで美容垢!とめどなく湧いてくる考察


可愛いあの子のサラ艶髪を保つためのヘアケアアイテム。そして、透明感のある肌を作るベースアイテムは……。まるでSNSの美容垢のごとく、亀山の脳内にはカワイイへの考察がとめどなく湧いてきます。

 

しかしながら、この亀山の考察の絶妙なリアルさたるや。シルクナイトキャップに、某ヘアケアブランドのドライヤーやヘッドマッサージャー……思わず「あ、そのアイテム流行ってるよね! 私も気になってた〜!」と声をかけたくなります。

懐かしの“カワイイ”アイテムに心躍る


怒涛の考察を心の中で繰り広げるものの、女子高生に話しかけたり、答え合わせをすることはなく静かに会社へと向かう亀山。つまり、『今日、駅で見た可愛い女の子。』とは、カワイイものへの造詣が深いおじさんが、心の中でひっそりと“カワイイ”を考察するという新感覚のコメディ作品なのです。

 

実は、亀山が女子高生と思っているだけで、当の彼女はカワイイものが大好きな男子高校生だったり。また、この2人が直接関わり合うことはなく、私たち読者はひたすら亀山のカワイイへの探求・考察という名の“心の声”を聞かされるという点でなんともユニークな本作。

そんな本作の魅力はなんといってもこの後に続々と登場する“カワイイ”アイテムの守備範囲の広さ。美容アイテムだけにとどまらず、スイマー、プロフ帳、シールブック、リプトンの紙パック……と、懐かしのカワイイ雑貨から飲み物まで。さらに「なぜそれがカワイイのか」「なぜ心惹かれるのか」と、どんどんヒートアップしていく亀山のカワイイへの考察力と言語化能力には脱帽です。

読み進めていくうちに、なんだか昔からの友人と飲みながら会話をしているような、思わず「わかる〜!」と言いたくなるほどのハイテンションに包まれる『今日、駅で見た可愛い女の子。』。ぜひ、亀山と一緒にたくさんの“カワイイ”にじっくり想いを馳せてみませんか?

 

【漫画】『今日、駅で見た可愛い女の子。』第1話を試し読み!
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<作品紹介>
『今日、駅で見た可愛い女の子。』
さかなこうじ (著)

可愛いもの博識おじさん×完ぺき女子(!?)、駅で一瞬すれ違うだけの観察型コメディ! アラフォーの亀山は、駅で見かける可愛い子が身に着けているものが気になって仕方がない。この全人類が好きな香りはミルボン!キラキラしたあの箱はセボンスター! 肌ツヤは……美容医療ではなくハイライト! どこのブランドが崩れにくい? あ~~教えてくれ~~~~! あなたが夢中になった「乙女アイテム」がたくさん登場!全人類Kawaiiが大好きコメディ!


<作者プロフィール>
さかなこうじ

漫画家。滋賀県生まれ。『俺のプロレスネタ、誰も食いつかないんだが。』(新潮社)で連載デビュー。代表作に『三成さんは京都を許さない―琵琶湖ノ水ヲ止メヨ―』など。現在は「COMICポラリス」にて『今日、駅で見た可愛い女の子。』、「くらげバンチ」にて『悪者さんちのハムスター』(原作)を連載中。