親がやめてほしいと思っても、子どもを認めたほうがいいの?


自己肯定感を育てるために、子どもを認める大切さは十分理解している。でも、こんなときはどう認めたらいいのかわからない……というご相談が増えました。その中から、今回はこんなお悩みです。

「息子が、ブロックを投げて遊び始めたとき、危ないからやめさせたいです。でも自己肯定感を育てるためには、禁止せずにやらせたほうがいいのでしょうか?」

みなさんなら、どうしますか?

「危ないから、すぐにやめさせるべき」なのか、「自己肯定感を育てるために見守ったほうがいい」のか。悩みますね。

今回は、「やめさせる」か「やらせる」かの二者択一ではない、もう1つの方法を考えます。まずは、NGマンガからチェックです。

 


子どもが夢中になった瞬間を見逃さない


やめさせたほうがいいのか? と迷いながらも一緒に楽しむことを選択したのに、周りから冷ややかな視線を送られてしまって、お父さん、いたたまれないですね。子どもが楽しそうに夢中になることを親も一緒に認めて楽しむことは、とても大事なことです。そして、親が夢中になっている姿を見たときに、子どもの集中力がさらに高まるのも確かです。

 

じゃあ、やっぱり、一緒にブロックを投げたほうがいいの? と思われるかもしれませんね。でもね、幸せな人生を歩んでいくためには、器(自己肯定感)を大きくした上で「社会のルール」を教えていくことも大事なことです

じゃあ、やっぱりやめさせたほうがいいの? いえいえ、「やめさせるか」「やらせるか」ではなく、第3の方法を考えてみましょう。OK マンガを見てみてください。

 

OKマンガのお父さんは、

● ものを投げる楽しさを認められた
● でも、ブロックは投げないというルールも教えられた

2つのことができました。つまり、「何を認めるのか」が大事なのです。ブロックを投げることを認めるのは、やっぱり変ですよね。当たったら怪我をさせてしまうし、みんなで使うものを壊してしまうのは、いけないことです。

でも、子どもが投げる楽しさに目覚めた瞬間を認めることは、とっても大切なこと。やめさせる言葉ではなく、まずは「うまく投げられたね!」と認める言葉をかけましょう。

最初に、「危ない!」とか「ああ、だめ……」というネガティブな発言をするとブロックに固執してしまうので、一言目が肝心です。そして、投げる楽しさを思いっきり満喫するために、ブロックは投げるものではないことを伝えて、ボールに持ち変えて、存分に投げさせてあげてくださいね。

「やめさせるか」「やらせるか」の二者択一ではなく、ベターなものに置き換える。今回のマンガの場合はブロックではなく、ボールに置き換えました。これがポイントです。子どもを認めながら、ルールを教えていきましょう!
 

著者プロフィール
天野ひかり(あまの ひかり)さん

NPO法人親子コミュニケーションラボ代表理事、フリーアナウンサー。上智大学文学部卒。テレビ局アナウンサーを経てフリーに。NHK「すくすく子育て」キャスターの経験を生かし、親子コミュニケーションアドバイザーとして講演や企業セミナー講師を務める。子どもの自己肯定感を育てるため自身で立ち上げたNPO法人親子コミュニケーションラボ代表理事、一般社団法人グローバルキッズアカデミー主席研究員。主な著書に『子どもが聴いてくれて話してくれる会話のコツ』(サンクチュアリ出版)や『賢い子を育てる 夫婦の会話』(あさ出版)など。

 

『子どもを伸ばす言葉 実は否定している言葉』
著者:天野ひかり ディスカヴァー・トゥエンティワン 1650円(税込)

NHK「すくすく子育て」の元司会者で、現在は「NPO法人親子コミュニケーションラボ」代表理事として親子のコミュニケーションに関する講座や講演を各地で行なっている著者が、自律する子どもが育つ「伸ばす言葉」と、子どものためを思って言ったのに「実は否定している言葉」の違いをわかりやすく解説。マンガで補足しているので具体的な状況を想像しやすく、より実践向きの子育て書といえるでしょう。


マンガ/とげとげ。
構成/さくま健太