諦めが付くまで、まずは頑張ってみる


──芸人になってから10年間はアルバイトと掛け持ちで本当に大変だったと思うのですが、芸人仲間や先輩が面倒を見てくれたり、助けてくれたりというのもありましたか?

河井:もうほんまにもうそれのみでしたね。その当時はお金ないのにこんな毎日酒飲める仕事ないよなとずっと言ってました。なんでこれで酒飲めてんねんって不思議なんですよ。NSC出てすぐくらいの時は、社会人を経験している組は極貧でなかったんです。働いていた時の貯えがある程度はあったので。でもそこから1年2年経って、みんなみるみる痩せていって、お金がなくなったりするんです。そんな時芸人仲間でご飯に行ったり、公園に行って飲んだりしましたね。あとはよくこんな血も繋がってない、昨日今日知り合った後輩をかわいがってくれるなと思うくらい、いろんな先輩がかわいがってくれました。

 

──夢を追うと経済的な不安定さはついてくるので、夢を持っても、それを追うか悩む人もいると思います。夢か安定か、どちらを選ぶか悩んでいる人がいたら、どうアドバイスしますか?

河井:僕は夢を追うのもお金を追うのもいいと思うんですけど、その先を想像したときに、どういう自分になっていたいかを考えて、その自分で納得がいきそうなら、その道を進めばいいかなと思います。とはいえ、夢を追うのにもなかなかお金がいりますよね。僕もやっぱり厳しい時期も相当ありましたし、心が折れそうな時もありました。でも、僕は綺麗ごと抜きで夢は追ってほしいなと思います。夢から逆算して、じゃあ今は何をしたらいいか、3年後、5年後どうなってたらいいのか、やりようはなんぼでもあると思います。自分ひとりで無理な時は人に助けてもらえばいいし、人に助けてもらわないといけない環境なんだったら人に助けてもらえるような人柄とか人脈を持てるような人になるためにはどうしたらいいかを考えてみるとか。そうすれば諦めなくても済むと思います。あとは、やらずに諦めるより一生懸命やって、無理だって感じてから次の道に行ってほしいなと思いますね。それを繰り返していたら、納得のいく道にたどり着くと思います。僕も芸人になることを一度は諦めてからNSCに入ったから、それを強く感じるんです。

 
 

取材・文・構成/ヒオカ
撮影/日下部真紀